ソフト開発のスマイルワークス(坂本恒之社長)は、自社のSaaS型統合業務システムサービス「ClearWorks(クリアワークス)」のITインフラの一部にGMOクラウドのクラウドサービスを採用した。スマイルワークスのITインフラ選定は明確で、「コスト競争力のあるサービスのうち、応答速度などを実際に測定してスピードが速い順に採用する」(坂本社長)というものだ。GMOクラウドのサービスは、実測の結果、上位に入ったことから採用を決めた。
ユーザー企業:スマイルワークス
SaaS型統合業務システムサービス「ClearWorks(クリアワークス)」を提供している。SaaS型なので、複数人での同時使用や、離れた拠点同士でのデータ共有も簡単にできる。
サービス提供会社:GMOクラウド
サービス名:「GMOクラウドサービス」
【課題】クラウドの進展で性能に見劣り
スマイルワークスは、中堅・中小企業向けの販売・会計・給与などに関する業務アプリケーション「ClearWorks」をSaaS型で提供している。SaaSの基盤となるITインフラは専業ベンダーから調達しているが、選定の方法が実にユニークだ。
まず、(1)情報セキュリティの観点から国内にデータセンター(DC)があること、(2)複数サイトで相互バックアップをとること、(3)応答速度が速いこと──の三つの条件を満たしたうえで、さらに主な顧客層である中堅・中小企業のコスト要求に見合うDCサービスを選定するというものである。
スマイルワークスでは、常に全国の新しいDCサービスを観察し、ユーザー環境に近い外部から実際に応答速度などを測定している。三つの条件とコスト見合いで「上位3位までのDCサービスを選定して、GMOクラウドを含む複数ベンダーが運営する3か所のDCで相互にバックアップをとっている」(スマイルワークスの坂本恒之社長)と話す。直近では、首都圏と北海道、九州の3か所のDCを活用することで、コストと安全性、応答速度の速さ、さらには「ClearWorks」そのものの業務ソフトとしての完成度の高さがユーザーから高く評価されている。
2003年設立のスマイルワークスは、当時のGMOホスティング&セキュリティ(現GMOクラウド)のホスティングサービスを使っていた。仮想マシン(VM)を使ったクラウド環境が普及する前で、専用サーバーを複数のDCサービスベンダーにホスティングしてもらうかたちで運用してきた。このうちの1社が旧GMOホスティング&セキュリティだったわけだが、後にAmazon Web Services(AWS)をはじめとするクラウドサービスが急速に普及し、従来型ホスティングのパフォーマンスが見劣りするようになってきた。

スマイルワークスの坂本恒之社長(右)とGMOクラウドの大浦政之氏【解決と効果】一度は利用中止も再び活用
そこで、スマイルワークスの坂本社長は、ユーザーの利便性を第一に考えて旧GMOホスティング&セキュリティの利用をやめることを決断。当時はサーバーなどの専用機器が物理的にDC設備内にある状態で、引っ越しに手間を要したが、ユーザー第一の考えは揺るがなかった。
その後、「ClearWorks」のITインフラも従来の専用サーバー方式からクラウド方式へと移る。クラウド方式になれば物理的なハードウェアに手を加えることなく、ネットワーク経由でデータを他のDCへと移行できるようになり、「条件に合致する、よりよいサービスが出てくれば、そのつど応答速度などを実測して常に上位3位のサービスを使うようにしている」(同)と、実測に基づいてDCサービスをふるいにかけるシビアな選定を続けてきた。
2011年、旧GMOホスティング&セキュリティは、社名を現在のGMOクラウドへ変更。看板をかけ替えたのは、クラウドを事業の柱にする意思表示を明確にするためだ。以来、「業界トップクラスのコストパフォーマンスを目指してクラウドサービスの拡充に努めてきた」(GMOクラウド営業部ダイレクトセールスグループの大浦政之氏)と胸を張る。スマイルワークスの坂本社長も、「それなら」ということで、一定期間さまざまな角度からGMOクラウドのサービスを実測し、選定基準である「上位3位」に入っていることを確認。再びGMOクラウドのサービスを活用することにした。
クラウドサービスは今も進化を続けており、新しいサービスが続々と登場するが、「GMOクラウドがトップクラスのサービスを提供し続ける限り使い続ける」と、サービスを高く評価している。(安藤章司)
3つのpoint
ユーザー視点で外部からDC性能を実測
実測で上位3位以内のDCを随時活用
国内の複数のDCで相互にバックアップ