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文教市場を無料クラウドサービスが席巻 対応を迫られる競合ITベンダー
2013/04/11 21:03
週刊BCN 2013年04月08日vol.1476掲載
グーグルの「Google Apps」と日本マイクロソフトの「Office 365」が、文教市場で好調だ。企業向けには有料で提供しているが、教育機関に対しては無償で提供していることから、続々と大規模な導入が進んでいる。
3月25日、埼玉県立総合教育センターは、「Google Apps for Education」の導入を発表。県内全域の公立校の教職員を対象に、研修で使用するプレゼンテーション資料など、ドキュメント共有を軸に活用していく。3月27日には、大阪府教育委員会が「Office 365 Education」を導入し、ウェブ会議システムの「Lync Online」を活用して、病気やケガで登校が困難な府立高校の生徒向けに、遠隔授業を実施していくと発表した。
二つの組織は、今後、府県内全域の公立校の教職員・生徒に対してサービスの利用を拡大。将来は、埼玉県で約4万人、大阪府で約14万人の教職員・生徒がサービスを利用できるようになる。
「Google Apps for Education」は、これまでグローバルで約2000万ユーザーを獲得している。「Office 365 Education」は、12年6月の開始以降、千葉県の印西市教育センターや京都大学が採用した実績がある。今回、府県全域での導入事例ができたことで、両社は今後の大型案件をさらに進めやすくなった。
無料であることが大規模な導入を後押ししているが、文教市場をフィールドにする競合ITベンダーは、このことが「脅威」にも「武器」にもなると捉えている。「脅威」は、競合サービスを販売しにくいということだ。文教市場の開拓に積極的な大手ディストリビュータの幹部は、「無料で提供されたのでは、有償サービスは当然不利で、厳しい状況になる」と危機感をあらわにする。ビジネスとしてサービスを提供しているITベンダーにとって、サービスの提供を無料にするという選択肢はない。しかし、有料のままでは圧倒的に不利で、市場を奪われてしまうというわけだ。
一方で、無料サービスをきっかけに他のソリューションの導入を促進しやすくなるという「武器」にもなる。「無料のクラウドサービスがきっかけとなって、教育機関でタブレット端末の導入が増える見込みがあり、他のアプリケーションと組み合わせて販売すれば、収益を上げることができる」(大手ディストリビュータ幹部)という。
現時点では、グーグルと日本マイクロソフトは、無償サービスを有償化する予定はない。このことを考慮すれば、競合するITベンダーは、そのままの有償サービスにこだわっていては、市場を食い荒らされるだけだ。文教市場で勝ち抜くためには、タブレット端末に他サービスを組み合わせて販売していくなど、無料サービスとの差異化が必須となる。(真鍋武)
グーグルの「Google Apps」と日本マイクロソフトの「Office 365」が、文教市場で好調だ。企業向けには有料で提供しているが、教育機関に対しては無償で提供していることから、続々と大規模な導入が進んでいる。
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