バックアップ事業を手がけるアクロニス・ジャパンのトップ営業マン、高見幸治さんは、パートナー開拓の腕利きだ。販売会社を「エンドユーザー」と捉え、自社導入の案件を受注するとともに、販社をパートナーとして獲得する。高見さんの武器は「スピード」と「耐久力」。長年の外資系キャリアを通じてこの二つを磨き、現在、アクロニス・ジャパンのパートナーに仮想環境のバックアップ提案の手法を伝えている。(構成/ゼンフ ミシャ 写真/長谷川博一)
まずはパートナーに自社導入を提案
私はこれまでのキャリアでエンドユーザー向け営業と販売パートナー向け営業の両方に携わってきた。現在、アクロニスでは、販売会社の方々にバックアップの新しい使い方を伝えるのが主な仕事だが、今でもエンドユーザーの視点を提案に入れている。
ここで、前職のS社に在籍していたときのエピソードを語りたい。S社は、大手の外資系セキュリティベンダーだ。当時、私は販売パートナーの新規開拓に力を入れていた。S社の製品を取り扱うメリットをどう訴求するかについて知恵を絞った結果、販社をエンドユーザーと捉えて、まずはこちらからS社のセキュリティエンジンを提案して受注することに挑戦してみることにした。
セキュリティエンジンはカスタマイズに最適なもので、社内システムに組み込めば、その会社にぴったりのセキュリティ対策を実現することができる。早速、大手のIT販社にアポイントメントを入れた。ゴールデンウィーク(GW)の直前だったので、先方がばたばたする時期だったが、GWの狭間に少し時間を取ってもらった。
その販社は当時、競合他社のセキュリティソフトを導入していた。私はシステム部門の担当者に、「エンジンであれば、完成製品よりも御社のニーズに合ったセキュリティ対策ができます」とアピールして、「組み込んでみてはどうですか」と提案した。さらに、自社での利用経験を将来の販売活動に生かせると説明し、私の提案に興味を示していただいた。結論をいえば、自社導入の大型注文を受けて、さらに、エンジンを商材として取り扱ってもらうことにも成功したのである。
長年、外資系企業で働いてきた私が営業スキルとして自信をもっているのは、耐久力とスピードだ。外資系企業は、一定の期間内で必ず成果を上げることを求めるので、営業担当としては、ToDo項目にきめ細かく優先順位をつけて、効率よく動かなければならない。
オーソドックスかもしれないが、私はメモ書きにこだわっている。紙や端末を使い、その日のタスクを書き留めて、いつ、何をするかの順番をつける。毎日、平均で30個くらいのタスクをこなさなければならないので、迅速に動くだけではなく、疲れても仕事の効率を落とさないなどの工夫もしている。
今、企業で事業継続に対するニーズが高まっており、バックアップの需要が旺盛だ。しかし、物理環境のバックアップ案件が顕著に伸びているのに対し、仮想環境のバックアップに関しての理解はまだ十分ではないとみている。だから、仮想環境のバックアップをどう提案するかのアイデアをパートナーとシェアし、市場の可能性をものにしたいと思う。
●日常使う営業ツール.......... iPhone/iPadとモンブランのボールペン。土日もお客様のリクエストに対応する高見さんにとって、iPhone/iPadは手放せないアイテムである。ボールペンは、旅先のモナコで購入し、愛用しているそうだ。
●上司からのひと言.......... 「高見さんは、グローバルでも表彰されるほどの営業力を有し、日本法人の営業をトップレベルに押し上げてくれた。とくにエンタープライズのお客様、かつ大規模な案件を多数受注し、チームを盛り上げている。今年からは、エンタープライズセールスのディレクタとして、大手企業のお客様を対象とするチームを率いている。今後は、さらに付加価値のある情報やアイデアをお客様に提供し、さまざまな課題を多方面から分析して、ソリューションを提供してくれることに期待している」(村上督代表取締役)