2000年、大手外資系のS社に転職した。当時は、毎日のようにカルチャーショックを受けた。夏と冬にボーナスが出た前職の日本企業とは、社風がまるで違う。勤務の初日から、外資系の「自由」はイコール「責任」だと思い知らされた。責任を果たさなければ、クビになるという意味で、本当に自由になってしまう。そういう危機感を抱いた。(構成/ゼンフ ミシャ 写真/長谷川博一)
[語る人]
●profile..........高見 幸治(たかみ ゆきはる)
1969年10月16日生まれ。北海道函館市出身。1992年、帝京大学法学部を卒業後、画像処理ツールを提供するTooに入社。営業に携わる。2000年に退社し、その後、数社の外資系セキュリティベンダーでハイタッチセールスやパートナー向け営業を担当。2010年、アクロニス・ジャパンに入社。13年から、エンタープライズ・セールス部門の立ち上げに従事している。
●会社概要.......... バックアップソフトウェアを提供する米Acronisの日本法人。2008年に設立された。マーケティングやパートナー開拓などを手がける。本社は東京・麻布台。
●所属..........エンタープライズセールス
ディレクタ
●営業実績.......... 2012年の第3四半期(7~9月)に、アクロニスの全世界でのトップ業績を上げて、本社のアレックス・ピンチェフCEOに表彰された。
●仕事.......... 大手のユーザー企業に向けたハイタッチ営業のほか、システムインテグレータ(SIer)など販売パートナー向けの営業を担当している。システムの仮想化などによって変化しているバックアップの使い方を伝え、パートナーのソリューション提案を支援する。1日あたりの訪問件数は2~3件。
業績は常にトップ
外資系営業マンの鏡
S社での1年目は、失敗の繰り返しだった。前職ではお客様にプレゼンテーションを行う機会がなかったので、心をつかむ情報の見せ方がわからなかった。さらに、エンドユーザーにではなく、販売パートナーに製品を提案し、パートナーが得る利益について考えなければならないことも、初めての経験だった。しかし、慣れない環境だからこそ、勉強に没頭し、一日も早く戦力になるよう努めた。
そして、S社の社風に慣れた頃、自分は外資系でのセールスが肌に合っていると実感した。入社2年目から、ハイタッチ営業とパートナー向け営業の経験を積みつつ、力を発揮した。4年連続でベストセールス賞を受賞し、国外のリゾート地で1週間の休暇をもらった。実績を上げる社員を大切に扱うという外資系ならではの待遇を満喫してきたのだ。
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現在勤務しているアクロニス・ジャパンは、同じ外資系企業でも、まだスタートアップ企業なので、とくに給料が高いというわけではない。だから、今の仕事の醍醐味は、お金とか休暇などの待遇ではなく、伸び盛りの企業でパートナー向け営業の体制を立ち上げることにあると思っている。
昨今、BCP(事業継続計画)の需要が高まっていて、バックアップのニーズは旺盛だ。しかし、システムの仮想化に伴って、バックアップ製品の使い方が大きく変わっている。大半の販売パートナーは、従来の売り方しか知らないので、メーカーとしては、販社向けの支援活動がカギを握る。私は毎日、当社のエンジニアと一緒に2~3社のパートナーを訪問し、バックアップ製品の新しい使い方を説明する。
冒頭で少し触れたように、外資系でのパートナー営業畑を歩む前に、画像処理ツールを提供する日本企業で、ルートセールスに携わった。当時はまだセキュリティがあまり厳しくなかったので、お客様の事務所に入って、どういう仕事をされているのかを現場で観察した。事務所に入らせていただくのはほんの数分間で、短時間にお客様の業務や課題を把握する腕を磨いてきた。新人時代のこの経験が、外資系で営業成績を上げ続けている現在も、強力な武器となっている。