BCN(佐藤敏明社長)とNTTコミュニケーションズ(NTT Com、有馬彰社長)は、7月12日、共同で関西地区のシステムインテグレータ(SIer)やISV(独立系ソフトウェアベンダー)に向けたビジネスセミナーを大阪・梅田で開催した。「クラウドで勝つ! 大手通信キャリアとの協業でつかむビジネスチャンス」と題して、基調講演やセッションを行い、クラウド活用で新規事業を開発する可能性を語った。会場には約100人の関係者が集まって、登壇者の話に熱心に耳を傾けた。(取材・文/ゼンフ ミシャ 写真/掛川雅也)
セキュリティの不安を払拭

矢野経済研究所
野間博美主席研究員 冒頭、矢野経済研究所情報通信・金融事業部の野間博美主席研究員は、「クラウド市場の動向とクラウド時代のITベンダーの中堅・中小企業開拓戦略とは」をテーマに基調講演を行った。
野間主席研究員は、「クラウドは、まだまだ浸透していないが、人員リソースからの解放や導入・運用コストからの解放といったメリットからすれば、中堅・中小企業に最適なソリューションだ。しかし、中堅・中小企業はクラウドのセキュリティに関して不安を抱いていることもあるので、『セキュリティに関する不安は不要である』と訴えて、ユーザー企業の悩みを解決する必要がある。うまく提案すれば、クラウドはSIer/ISVにとって強力な武器になると確信している」と述べた。
クラウドの提案手法については、「ユーザー企業の情報システム部門ではなく、社長をはじめとする経営層に直接アプローチするやり方が有効だ。そして、クラウドによって何を解決するかということと、ビジネス上のメリットを訴求し、トップダウンの導入決裁につなげることがポイントになる。経営者の横に立って、一緒にビジネスの改革を実現する提案力が求められる」とした。
サイトでソリューション紹介

NTT Com
中山幹公担当部長 次に、NTTコミュニケーションズ 西日本営業本部 第三営業部門の中山幹公担当部長が登壇。「SIer/ISVの皆様のビジネスにパワーをチャージするNTT Comのクラウドとパートナー様向けプログラム」を紹介した。
中山担当部長は、「当社はクラウドに力を入れており、グローバルでビジネス展開している。パートナーの方々には、ぜひ当社が各国でもつリソースを活用して、国内クラウドと組み合わせたグローバルクラウドの提案をしていただきたい」と、協業モデルを訴えた。
同社はパートナー支援として、パートナーソリューションプロモーション(PSP)を展開している。このプログラムでは、NTT Comのウェブサイトで共同ソリューションのパッケージを紹介し、営業をサポートする。中山担当部長は「2014年3月までに100パッケージを揃えたい」として、パートナーの商材を紹介するセミナーを「10月に大阪での開催を予定している」と述べた。
このほか、アドソル日進のソリューション営業統括部の吉村隆男シニアコンサルタント、JALインフォテックのソリューション・サービス事業本部 営業統括部の小池由高営業部長、eBASEの窪田勝康取締役執行役員CFOがセッションを行い、クラウドの活用事例を紹介した。
プログラムの最後はパネルディスカッション。『週刊BCN』の谷畑良胤編集委員が司会役を務めるかたちで、NTT Comの中山担当部長、アドソル日進の吉村シニアコンサルタント、JALインフォテックの小池営業部長、eBASEの窪田取締役執行役員がクラウドによるビジネスチャンスについて意見を交わした。

パネルディスカッションで意見を交わす
会場には約100人のITベンダーが集まった