営業担当になって、まだ2年目に入ったばかりの新人だ。お客様の心を動かす営業トークや提案活動の段取りについては、経験豊富な先輩に勝てるとは思っていない。私が強みにしているのは、お客様に対して「わかりません」と正直に言える、新人だからこその特権を前面に押し出すことだ。(構成/ゼンフ ミシャ 写真/長谷川博一)
[語る人]
●profile..........井上 裕太(いのうえ ゆうた)
高校を卒業するまで出身地の大阪で過ごし、大学入学を機に上京。2011年、大学を卒業して日本ユニシスに入社する。1年目は、東京本社でシステムエンジニア(SE)研修を受け、プログラミングなどを学ぶ。2年目から、ビジネスサービス事業部 関西ビジネスサービス営業部に配属され、関西支社で営業を担当し、現在に至る。
●会社概要.......... 金融業に強い大手システムインテグレータ。1958年に設立。従業員数は4212人、2013年3月期の売上高は2691億円。東京本社のほかに、大阪、名古屋、福岡に支社を置く。
●所属..........ビジネスサービス事業部
関西ビジネスサービス営業部
第二営業所
●営業実績.......... 入社2年目に、受注金額が1億円を超える基幹システム構築の案件を新規で獲得し、「新人賞」を受賞。
●仕事.......... 流通業の企業を中心に、関西地区での営業を担当している。提案する商材は、通信販売ソリューションやスマートフォン向けのECサイト構築など、多岐にわたる。午前中は会議や資料作成などに使い、午後は顧客訪問と、効率のよい動きを心がけている。最近は、客先のビジネス改善を切り口とする提案に力を入れているそうだ。
勉強熱心な姿勢をアピール
「すぐにはお答えできませんが、一生懸命に勉強しますので、また訪問させてください」。私は、知識や経験は浅くても、お客様の声を熱心に聞いて、帰社後に情報を調べて提案に反映することに力を注いでいる。知識を高めることに貪欲な姿勢をアピールし、お客様との信頼関係の構築につなげる。
最近は、お客様や上司から「しっかりしてきたな」とほめられるようになって、すごくうれしい。夜遅くまでITの勉強をしたり、提案書をつくったりと、がむしゃらに働き、一日も早く一人前の営業パーソンとして認められるようになることを目指している。
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大企業でわくわくするような大きいプロジェクトに携わりたいと考えて、新卒で日本ユニシスに入社した。2011年のことだ。1年目は東京本社でプログラミングなどを習う技術研修を受けただけだから、2年目に関西支社の営業部に配属された段階では、お客様と名刺交換をした経験はゼロだった。
関西支社の上司は、新人をチャレンジさせる教育方針を貫く人だった。だから、いきなりお客様の新規開拓を命じられた。商材は、高度な技術知識が必要で、提案のハードルが極めて高い基幹システムの構築……。「そんな仕事、できるはずがない」と尻込みして、正直、お客様への訪問がものすごく怖かった。
最初の数か月は、とにかく多くのお客様を訪問し、現場にいながら知識を叩き込まれるかたちで、営業の基礎を覚えた。こうして学んだことを生かして、新人の私も売り上げの向上に貢献しなければならないと考え、懸命に提案活動を行った。
熱心に知識を吸収したことと、先輩にバックアップしてもらったことが実を結び、8か月をかけて訪問したお客様から、1億円を超える注文をいただいた。
まだまだ不慣れなことが多く、気分が落ち込むこともあるが、朝起きて、気持ちをリセットすることを心がけている。