プラント事業の大手である日揮(川名浩一社長)は、東南アジアでのビジネス展開に力を注ぎ、現地オフィスのITインフラを構築するために、ネットマークスの「海外拠点立ち上げパック」を活用している。サーバーなどIT機器の納品時間を通常よりおよそ30%短縮するなど、ネットマークスの充実した支援策を評価し、導入を決めた。今後は、ネットマークスの力を借りて、ITインフラのフルアウトソーシングに取り組む。
ユーザー企業:日揮
世界各国で、プラントの計画から設計、建設、オペレーションなどを手がける。1928年設立。2013年3月期の売上高は6246億円、従業員数はグローバルで約1万人。神奈川県横浜市に本社を構える。
サービス提供会社:ネットマークス
ネットマークス:海外拠点立ち上げパック
【課題】未開拓地でITインフラを整える

日揮
プロジェクトIT部
内野トモヒロ氏 フィリピン・ミンダナオ島の北部に位置するタガニート地区。ココヤシが立ち並び、幹線道路が通っていない未開拓地を、プラント事業を手がける日揮が新プラントの建設地として選んだ。作業は、まずココヤシの伐採から始まり、次に現地でプラントづくりに携わる従業員用のオフィスを建てる。しかし、ここは未開拓地。電源環境や通信環境が整っていない。どうすればオフィス内のITインフラを効率よく構築することができるのか──。日揮のIT部門にとっての悩みどころだった。
フィリピンなど、日揮が世界各国で手がけているプラントのプロジェクトは、設計、調達、製作、輸送、建設といった段階を経て、プラントの完成まで、2~5年の期間がかかる。横浜本社や現地スタッフ、パートナー企業など、プロジェクトに参加する人員は数千人に及ぶことが多い。プラントづくりを成功に導くには、コミュニケーションの基盤を成すITインフラの整備が欠かせないわけだ。
日揮プロジェクトIT部の内野トモヒロ氏は、「プロジェクトマネジメントだけでなく、ITの整備と運用体制も成否を決める重要なファクターになる」と考えている。
日揮がフィリピンプラントのオフィス建設にあたって活用したのは、日本ユニシスグループのICT(情報通信技術)ベンダーであるネットマークスが展開する「海外拠点立ち上げパック」である。回線に関する情報の提供やネットワーク機器やサーバー、パソコンなど機器の手配、セキュリティ対策、保守サポートなど、オフィス業務に必要なITインフラをワンストップで提供するものだ。
【決断と解決】メーカーとのパイプを生かして迅速に導入
フィリピンプラントのオフィスでは、200人ほどの従業員が働き、6台のサーバーを運用している。日揮がネットマークスの「海外拠点立ち上げパック」の導入を決断したのは、サーバーをはじめとするIT機器の納入期間を大幅に短縮できることが決め手になったようだ。
フィリピンでは、通常、IT機器の発注から納品までの期間が平均47日と長い。ユーザー企業のSI(システム構築)パートナーがディストリビュータに発注し、ディストリビュータがメーカーのフィリピン法人に発注。さらに、フィリピン法人が米国本社に発注するという複雑な流れになっているからだ。日揮は、一日も早くITインフラを整えて、仕事をスタートさせたいと考えた。そこで、米国のメーカーと太いパイプで直接やり取りすることによって、納品の期間をおよそ30%短縮できるネットマークスへの発注を決断した。
内野氏は、「日系企業を海外でサポートするネットマークスの気合いを感じた」と振り返る。
もう一つ評価したのは、ネットマークスがマレーシアやインドネシアなど、中国・ASEANの7か国でビジネスを展開し、標準化したサービスを提供していることだ。日揮は、資源が豊富な東南アジアで相次いでプラント建設の案件を受注している。直近では、マレーシアのビントゥルで新しいプロジェクトに着手した。フィリピン以外でも、ネットマークスのサービスを利用するケースが多いという。
「ネットマークスは、現地スタッフの対応力が高く、日本との連携がスムーズ。今後は当社の業務にさらに踏み込んでもらい、東南アジアで遂行するプロジェクトのITインフラをフルアウトソーシングしたい」と、内野氏は期待している。(ゼンフ ミシャ)
3つのpoint
・納品時間を30%短縮
・現地スタッフの対応がよい
・東南アジア各国でサービス展開