BCN(佐藤敏明社長)は、2013年12月11日、東京・神田の社内セミナールームで、中国に進出済み・進出予定の日系IT企業を対象とするセミナー「中国ITビジネス推進講座」を開催。中国のIT市場動向や、ビジネス上での注意事項、中国現地法人を成功させるための方法などを紹介した。

木戸脇雅生
顧問 セミナーでは、まずNECの木戸脇雅生顧問が、「これからの中国IT市場の見方と、日本企業の戦略および事業展開について」と題して講演。木戸脇顧問は、「日系企業にとって中国は、円安と日中関係の悪化、賃金などのコスト高騰によって、扱いが難しくなってきている。しかし、市場として大きな潜在力をもつ中国を無視することはできない」と述べ、NEC(中国)総裁を務めた自身の経験を踏まえて、中国ビジネスの推進のノウハウを詳しく述べた。
ビジネスを進めるうえでの注意事項としては、「政府の指針である『第12次5か年計画』をよく頭に入れておく必要がある」「中国企業は、経営実態や事業の中身・実力が不透明な場合が多いので、つき合う際には本当の姿を掴む努力が必要」などの点を紹介。中国ビジネスを成功させるための方法については、「中国と日本ではビジネスモデルが違う。とくに、中国のITプロジェクトは1案件あたりの金額が小さいことが特徴だ。日系企業は、開発したソリューションやサービスメニューをパッケージ化して、どれだけ多くの案件を獲得できるかという方向で戦略を練ることが望ましい」とアドバイスした。

黄鶯
エグゼクティブ
ディレクター 次に、新日本有限責任監査法人の黄鶯エグゼクティブディレクターが「中国の商業賄賂と中国日系企業における不正」と題して講演。「中国では商業賄賂が横行している。この現実を受け止め、きちんと対処していく必要がある」と前置きしたうえで、贈賄/収賄の定義や罰則など、商業賄賂に関する中国の法制度を解説し、工商行政管理局から賄賂と判断される基準金額などを紹介した。さらに、自動車、製薬、ITなどの各分野で、日系を含めた外資系企業が商業賄賂で罰された複数の事例を公開し、「法律が違うので、日本で一般的に行われていることでも賄賂と判断されることがある」と注意を促した。
こうした商業賄賂を防ぐための有効策について、黄エグゼクティブディレクターは、「内部監査の仕組みを設けて、不正を行っていないことを社会に対して明示するだけでなく、政府や企業と癒着させないための社員の定期的な人事異動や、内部通報制度などを構築することが有効だ」とアドバイスした。(真鍋武)