ネットジャパン(蒋冠成社長CEO)は、バックアップソフト「ActiveImage Protector」で、さまざまなニーズを吸い上げている。オンプレミス型システムとクラウドサービスの連携をこなすだけでなく、2015年7月にサポート終了を控えているWindows Server 2003の移行にも対応。首都圏に限らず、地方に営業担当者が出向いてユーザー企業の要望に応えるという小回りの利くビジネスを手がけている。(取材・文/佐相彰彦)
現場のSIerとともに歩く

佐藤尚吾部長 「ActiveImage Protector」は、さまざまな環境のWindowsマシンをディスクイメージング技術によってバックアップ/リカバリできるソフトだ。システムを稼動したままバックアップする「ホットイメージング」、起動前のクリーンなシステムボリュームをバックアップする「コールドイメージング」、変更部分だけを高速にバックアップする「増分バックアップ」など、バックアップに必要な機能はすべて搭載しており、自社の管理ツールと組み合わせて自動化する「コマンドライン実行」も備えている。「重複排除圧縮機能」によって、保存先の消費容量を大幅に抑えることができるだけでなく、ボリュームレイアウトを一覧できるディスクマップやスケジュール設定ウィザードなどのわかりやすいユーザーインターフェースによって専門知識がなくても簡単に確実なバックアップ/リカバリを可能にしているところが売りだ。
ただ、国内の市場をみると、サーバーのリプレース時にバックアップソフトもついでにリプレースするというように、バックアップソフトに対するユーザー企業の関心は薄い。この領域の大手メーカーが高いシェアを確保しており、乗り換えを促すことが難しい状況にある。そこで、ネットジャパンは、「小回りの利くビジネスで、ユーザー企業のニーズを吸い上げて、案件の獲得に力を入れている」(佐藤尚吾・営業本部営業企画部部長)という。具体的には、販売パートナーのSIerとネットジャパンの営業担当者がユーザー企業に訪問してデモを実施しながら提案するほか、「社内のエンジニアとも連携して、さまざまな案件に対応する」ことで、新規案件の獲得を実現している。
ユニークな案件を増やす
ネットジャパンが獲得に力を注いでいるのは、「他社が対応できないユニークな案件」だという。例えば、パブリッククラウドサービスに保存してあるデータを、手元もしくは別の場所にも残しておきたいという案件があり、そのクラウドサービスとバックアップソフトの連携を行ったケースなどだ。本来ならば、バックアップ先としてパブリッククラウドを利用するユーザー企業が多いが、パブリッククラウドをサポートすることによって、バックアップソフトのメリットを生かすことにつながった。
また、最近ではWindows Server 2003のサポート終了に関心を示すユーザー企業が出始めていることに着目し、既存の物理サーバーを仮想サーバーに変換する技術「P2V」によって「ActiveImage Protector」でデータを集約して「Hyper-V」や「VMware ESXi」などに移行することを提案。「Windows Server 2003をWindows Server 2012へ簡単に移行できないというユーザー企業に対して最適な方法として提案している」という。
データの消失を防ぐためにバックアップソフトを導入するというニーズが少なからず出てきてはいるが、「単にバックアップ/リカバリができることをアピールしても、ユーザー企業には響かない。困っていることをバックアップソフトで補うための提案を行って需要を掘り起こす」と、佐藤部長は語る。
「ActiveImage Protector」というバックアップソフトの知名度が低いことからも、「全国を飛び回って、さまざまなニーズを吸い上げていく」との方針を示す。これにより、バックアップ関連事業の売り上げとして2ケタ成長を目指している。