ネットワールドは、EMC製ストレージとシスコシステムズ製サーバーを中心とする仮想化インフラ「VSPEX」を学ぶための「VSPEX合宿 in 犬吠埼」を開催した。販社を対象としたもので、合宿では、VSPEXの技術を習得して単にシステムが組めるようにするだけでなく、疑似案件が一番の目玉。参加者は、試行錯誤してシステムを構成し、「金メダル(1位)」を目指した。どの提案も、ユーザー企業が思わず「金(カネ)」を出しそうなリアルなプレゼンテーションを披露していた。(取材・文/佐相彰彦)

合宿会場となった犬吠埼ホテルチームに分かれてシステム構成を思案
「VSPEX合宿」の開催場所は、日本国内で最も早い初日の出を拝むことができることで知られる千葉県銚子市の犬吠埼。会場は、展望露天風呂に浸かって、太平洋を一望できるオーシャンビューや日の出などを堪能できる犬吠埼ホテルだ。合宿期間は1泊2日。販社に日ごろの疲れを癒してほしいというネットワールドの気遣いがみえる。しかし、うがった見方をすれば、交通手段が決してよいとはいえない犬吠埼で缶詰状態にして、合宿に集中せざるを得ない環境にしたともいえる。
合宿会場に到着してすぐに、参加者を4チームに編成。まずは、パスタ(スパゲティ)を骨組みに使って電波塔をつくり、どのチームが最も高いのかを競い合うゲームが始まった。チーム内で参加者同士を打ち解けさせるというのが狙いだが、ここでチームワークを高めることが後のメインイベントに大きく貢献することになった。
「VSPEX」を学ぶため、EMC製ストレージ機器「EMC VNX」シリーズやシスコシステムズ製サーバー「Cisco UCS」シリーズの座学があって、その後にメインイベントの疑似案件が開催された。このイベントは、与えられた「お題(案件内容)」に対して、各チームが最適なシステム構成を提示するというもの。複数社が入札した商談会を想定し、各チームの代表がプレゼンをしなければならない。
初日は、各チームがどのようなシステムが適しているのかを思案し、パソコン上でシステムを構成して実際に動くかどうかを検証。ネットワールド関係者も各チームをフォローしていた。
限られた時間で最適なシステムを提案
二日目は前日に引き続き、午前中は各チームがシステム構成を検証。午後からは商談会に模したプレゼンテーションが始まった。
モデルになったのは、全国に大型の複合商業施設を構えている企業。現在の基盤システムは多くのメーカーの製品を導入しており、運用管理が破綻しているので、リプレースを依頼したいというのが「お題」だ。2段階に分けてのリプレースを希望しており、まず稼働中のサーバー50台を移行、2年後に250台規模にサーバー環境の拡張を予定している。24時間365日の連続稼働、共通アーキテクチャで簡単にシステム拡張が可能、障害時の手順を簡素化して運用の手間を省くことなども要件に含まれる。ファイルサーバーには多くのWordやExcelなどのデータが存在していて、ほとんどが使われていない。サーバーの負荷は、休日や定期実施のセール時などには非常に高くなるが、平日には低い状態というシステムでもある。将来的には、沖縄・那覇のデータセンターをDR(ディザスタリカバリ)の拠点にする計画も立てている。
調達要件としては、サーバーにはUCS、ネットワーク機器は「Cisco Nexus 5000シリーズ」を利用すること。このほか、ストレージ領域を階層化した構成、ヴイエムウェアやマイクロソフトのソフトウェアライセンスは既存のものを使うなどという条件も課せられた。
各チームとも、要望や要件に応えたシステムを構成してプレゼンを実施。そのなかで、システム構成やプレゼンがすぐれていたチームを選出した。また、どれも実際の案件で通用するほどの提案だったという総括がなされた。
最も驚いたのは、プレゼンまでの時間だ。1日目の午後4時頃に「お題」が発表され、実際にプレゼンが始まったのは翌日の午後。24時間以内に提案書を作成した勘定になる。ある販社の参加者によれば、「このような案件は実際にある。そういった意味でもリアル案件を獲得する気持ちで臨むことができた」という。合宿を通じて、販社が迅速に対応する姿を目の前で見ることができた。

まずはパスタを使った電波塔をチームで作成
各チームの代表がプレゼンを実施
参加者は「お題」に適したシステム構成を思案した