サイオステクノロジー(サイオス、喜多伸夫社長)は、10月9日、都内のホテルで「サイオス パートナーカンファレンス2014」を開催した。イベントでは、東京五輪が開催される2020年までに起こることが予想される社会と市場の変化をテーマに、日本のIT政策の動向と、そのなかで「『自動化』から『知能化』へ」をキーワードに、サイオスが目指す方向性についての講演が行われた。(取材・文/柴田克己(フリーランスジャーナリスト))

イベントには多くの販売パートナーが参加した「自動化」から「知能化」へ

サイオステクノロジーの喜多伸夫社長 ゲストとして講演したのは、内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室の市川類・内閣参事官だ。市川参事官は、2014年6月に閣議決定された「世界最先端IT国家創造宣言」改正版の内容に触れながら、2020年に向けた今後の情報技術発展の方向性は大きく「モバイル化」と「クラウド化」の二つであるとした。この流れのなかで重要になるのは、各企業がもつ情報やデータが、企業の枠を越えて流通し、相互に利活用されることであるという。IT政策が目指すのは、ITによって情報やデータが「接続(コネクト)」される社会の構築であり、民間のITサービス企業には「長期的な視点をもちつつ、最先端のITを開発、導入することでユーザー企業のイノベーションを促進する提案をしてほしい」と述べた。
続いて登壇したサイオスの喜多社長は、2020年に向けた同社の経営戦略を説明した。2020年には、モバイルネットワークのトラフィックが2010年の1000倍に達し、加えて全世界に500億台を超えるIoT(モノのインターネット)端末が存在するという予測を示しつつ、そうした環境にシステムが耐え得るものになっていなければならないが、現状でもパフォーマンスやセキュリティなどの面で、さまざまな課題を抱えているという。

内閣官房 情報通信技術(IT)総合戦略室の市川類・内閣参事官 また、今後ますます複雑化と肥大化が予想されるシステムを、膨大なデータと高トラフィックの時代に対応させるためのカギは、従来の「自動化」の概念をさらに押し進めた「知能化(インテリジェンス)」であることを訴えたうえで、「次世代のITは、システム自体が学習して自ら問題を解決するものになる。知能化によって、ユーザーのIT体験は劇的に変わり、ITは容易でしかも安心して管理できるものになる」とした。同社では、この「知能化」を視野に入れた新たな製品とサービスの第1弾について、2015年1~3月期に発表する予定だ。
8社がアワードを受賞
イベントでは、「サイオス パートナーアワード2014」の授賞式があわせて行われた。今年は計8社が選出され、各社の代表者が表彰を受けた。
ディストリビュータを対象とする「Best Distribution Partner」を受賞した大塚商会の塩川公男・ビジネスパートナー事業部取締役兼上席常務執行役員は「今年春は『Windows XP』のサポート終了に伴う特需もあって、非常に好調だった。今は春と比べれば厳しい状況かもしれないが、2020年に向けて市場そのものは決して悪い環境ではないとみている。多くの方々に支援していただきつつ頑張っていく」とした。
同じく受賞したシーティーシー・エスピーの櫻庭愼一郎社長は、「受賞を大変うれしく思っている。ただ、サイオスにしてみれば『もっと売ってこい』という意味での選出なのではないだろうか(笑)。今後は、(HAクラスタソフトの)『LifeKeeper』をはじめ、ネットワーク関連の製品にも注力していく。多くのパートナーとWin-Winの関係を築いていきたい」との考えを示した。
ソフトバンク コマース&サービスの溝口泰雄社長は、「われわれはLifeKeeperでのビジネスをメインにしているが、クラウド時代に、HAクラスタによる冗長化には大きなビジネスチャンスがあると考えている。『Windows Server 2003』のリプレース需要という追い風もある。この賞に恥じない成果を出せるようにしたい」と述べた。
会場には、多くの販売パートナーが集まった。イベント終了後の懇親会では、販売パートナー同士が新しいビジネスの創造に向けて情報交換しているシーンが目についた。

「サイオス パートナーアワード2014」を受賞した販売パートナーが喜びを表した
(写真左から大塚商会の塩川公男取締役、シーティーシー・エスピーの櫻庭愼一郎社長、ソフトバンク コマース&サービスの溝口泰雄社長)