週刊BCNは2月26日、NTTコミュニケーションズ(NTT Com、庄司哲也社長)の協賛のもと、東京・霞が関で「ついに来た!基幹システムへのクラウドの波~ユーザーに評価される基幹システムの在り方を考える~」をテーマにラウンドテーブルを開催した。講演と参加者によるグループディスカッションを実施し、基幹システムにおけるクラウド利用について活発に議論を展開した。(取材・文/前田幸慧)

グループディスカッションのようす
クラウドの「適用箇所」を見定めること
冒頭、『週刊BCN』編集委員の谷畑良胤が主催者を代表して挨拶した。「これまで、基幹システムはクラウド化しないのではないかといわれてきたが、いよいよ基幹システムへもクラウド化の波がきている」と、ユーザーの選択肢としてクラウドの重要性が高まっていると強調。「講演だけでなく、グループセッションという場も大いに利用して知見を高め、今後の企業活動に生かしてほしい」と参加者に呼びかけた。

水上 晃
プライスウォーター
ハウスクーパース
TICEユニット
ディレクター 続いて、プライスウォーターハウスクーパースの水上晃・TICEユニットディレクターが登壇し、「クラウドファーストの時代に!基幹システムにおけるクラウドの最適配置の考え方をまとめるアプローチのご紹介」と題した基調講演を行った。
水上ディレクターによると、ユーザー企業は新たなシステムを導入する際、「原則的にクラウドの利用を検討する傾向にある」として、基幹業務に求められるようなミッションクリティカルなシステムにおいても、クラウドファーストの波がきていると話した。一方で、実際にクラウドの採用を決めても、運用が複雑になったりコストが割高になったりなど、導入に失敗してしまうケースも多い。そのため、「クラウドを導入する目的や情報を整理し、クラウドの『適用箇所』を見定める」ことで、IT戦略の価値を高める必要があると主張。基盤の最適化に向け、システム状態や問題点の把握、クラウドの仮選定、コストやリスクの分析、クラウド導入の方向性の決定までの一連のプロセスや、その過程のなかで用いるフレームワークなど、クラウドを最適に配置するための考え方を解説した。
活発な議論を展開
基調講演の後は、参加者がグループに分かれてディスカッションを行った。各企業におけるクラウドを活用したビジネスの状況や、基幹システムにクラウドは利用できるか、国産クラウドへの印象、パートナーに求めることなどの議題で、活発に意見を交わした。
ディスカッションを終えると、各グループで行われた議論の内容を共有。ディスカッションでは、「クラウドを検討するエンドユーザーは全体の約6割、実際に導入に至るのはその半分ほど」「コストと機能を両立させる必要がある」「基幹システムにクラウドは使えるが、すべてをクラウドにはできない」「国産クラウドには安心感がある」「国産・外資を問わず、サービスとしての認知度が重要」「お互いに足りない部分を補い、ともに成長していけるパートナーと協業したい」など、それぞれの立場から多様な意見が出て盛り上がった。
「Enterprise Cloud」を強化

林 雅之
NTTコミュニケーションズ
クラウドサービス部
クラウドエバンジェリスト グループディスカッションの後は、「クラウドプロフェッショナル時代におけるクラウドサービス事業者とは?」をテーマに、NTT Comの林雅之・クラウドサービス部クラウドエバンジェリストが講演した。
林エバンジェリストはまず、クラウドの全体の市場動向と、とくに「クラウドとオンプレミスのいいとこ取りをしたいというユーザーのニーズが多い」というハイブリッドクラウドの動向について解説した。続いて、NTT Comの提供するクラウドサービスの一つである「Enterprise Cloud」を紹介。基幹系のアプリケーションやデータセンター、ネットワーク、セキュリティ、マネージドといった各種サービスを組み合わせた「基幹システムに最適なクラウドサービス」と説明した。NTT Comは、デジタル・トランスフォーメーションに対応したEnterprise Cloudの機能を大幅に強化。林エバンジェリストは、基幹システムや社内業務システムなどに求められる堅牢性や安定性を重視する「トラディショナルICT」と、IoTやビッグデータ、AIなどの新ビジネスに求められる迅速性や柔軟性を重視する「クラウドネイティブICT」の両方をシームレスに構築・運用できるクラウド基盤が今求められていると話す。「双方をうまく連携しながら複数のクラウドを運用管理できるようなプラットフォームを展開していく」と述べ、Enterprise Cloudの強化ポイントを詳説した。
さらに、パートナーとの協業事例を紹介したほか、クラウドサービスの次のインテグレーションとして、「クラウドのターゲットは、スマートマシンやデバイスになっていく」として、スマートマシン市場について解説。「今後はクラウドネイティブなところもパートナーと協業して、ソリューションを提供していきたい」と参加者に呼びかけ、セミナーを締めくくった。