富士通システムズ・ウエスト(FWEST、宮田一雄社長)が、「成功報酬型」のシステム提供に乗り出した。ユーザー企業がシステムを導入して目標を達成した際に料金を支払ってもらうようにする。ユーザー企業の要望を受けながら、できるだけ低コストでシステムを構築するために、自社パッケージを最大限活用。成功報酬型によって、自社パッケージを使ったソリューション提供の売上高を2018年度(19年3月期)に2倍まで引き上げ、全体の売上高として1000億円超を狙う。(佐相彰彦)
FWESTは、16年度に始まった中期経営計画で「インテグレーション力の強化」「ソリューションビジネスの拡大」「グローバルビジネスへの挑戦」「人をつくる・人を活かす」という四つを重点テーマに掲げている。成功報酬型のシステム提供は、重点テーマを遂行するための取り組みで、FWESTにとっては初の試みとなる。
具体的には、「20%コストを削減したい」「売上高を現状より20%増やしたい」など、ユーザー企業がシステムを導入して実現したいと考えている目標を達成した際に、レベニューシェアするというもの。宮田社長は、「ユーザー企業の経営に入り込んでシステムを構築することになる。社員には、技術者としての腕を高めてもらうことはもちろん、コンサルティングのスキルも身につけてもらう」と説明する。成功報酬型のシステムを提供するにあたって、FWESTの社員すべてが今年度に入ってすぐにコンサルティングのノウハウをもてるというわけではないため、現段階では特定の人材で構成されるチームを結成。3000人のエンジニアから150人を選定した。「当面は、小さな案件から始めていき、徐々に大規模案件でも採用するようにする」としており、まずは1億円以下の案件を想定している。
レベニューシェアは、初期投資がかからないという点で、SMB(中堅・中小企業)を中心に新規顧客を獲得できる可能性を秘めているが、システムを構築しても売上高を計上できずに不採算案件になる危険性もある。そのため、「基本的には、自社パッケージを使ってシステムを構築する」。すでに揃えているものなので、開発費がかからずにコストを抑えることができると試算している。自社のパッケージを使用するという点で他社と一線を画しており、これにより、ソリューションビジネスの拡大の実現を狙う。「いかにパッケージでユーザー企業のニーズを汲み取ることができるかがカギを握る」と宮田社長は訴える。もちろん、ニーズによってはカスタマイズが必要になるケースもあるため、「アジャイル開発で進めていく。そのための人材を揃えた」と自信をみせる。
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宮田一雄
社長 成功報酬型のシステム提供に踏み出した背景には、「昨年度、予想以上に不採算案件を出してしまった」と宮田社長は振り返る。とくに、5000万~6000万円の案件で多く、売上高の0.5%と見込んでいたのが、それを超えたという。「不採算案件を減らすためには、社員の一人ひとりがユーザー企業の課題を解決するためのシステム開発を意識しなければならない。まずは形にして、成功事例をつくっていくことが必要と判断した」という。加えて、昨年度はリプレース案件が前年よりも多く市場環境はよかったものの、「今年度は楽観視できない」。そこで、成功報酬型のシステム提供の確立を目指して、「システムを構築したら終わりではなく、パートナーシップを深めるような関係を築く」ことによって、ユーザー企業を囲い込むことを狙っている。
FWESTでは、ソリューション事業の売上高は150億円規模で、これを18年度に300億円まで増やすことを目標に据えている。宮田社長は、「成功報酬型のシステムが、売上目標達成に向けて大いに寄与することは間違いない」と断言している。