近年、「シャドーIT」と呼ばれる社内で管理していない私用端末の業務利用や、そうした端末の社内ネットワークへの無断接続が問題視されている。管理外の端末が社内ネットワーク上で利用されると、情報漏えいのリスクが高まってしまう。正しい端末が正しい環境のもとでネットワークにつながっているのか──。不正接続の防止やネットワークの利用状況を把握したい企業に対して、ソフトクリエイト(林宗治社長)が提案するのは、不正接続端末を検知・遮断する「L2Blocker」だ。(取材・文/前田幸慧)
不正な接続を見逃さない
L2Blockerは、社内ネットワークへの不正接続防止機能に特化したアプライアンス製品。社内端末の接続許可リスト(ホワイトリスト)をもとに、接続を許可していない端末が社内ネットワークにアクセスすると、自動で検知・遮断する。また、社内ネットワークにアクセスする端末のIPアドレスや機器名、MACアドレスといった情報を管理サイト上で一覧で管理することができる。
L2Blockerの特徴は導入の簡単さと運用のしやすさにある。不正に接続する端末の検知・遮断に特化したアプライアンス製品のため、既存のネットワーク環境を変えることなく、LANに接続するだけで導入でき、他のセキュリティ機器ともバッティングしない。また、見た目で操作イメージを把握できるシンプルな画面設計にもこだわっている。
L2Blockerが属する「不正接続防止ツール」の市場は、もともとセキュリティ対策が十分でない端末を検知して隔離、対策を施して治療する「検疫ネットワーク(システム)」の市場から派生したもの。ソフトクリエイトでは、L2Blockerを検疫ネットワーク市場時代から提供してきた老舗ベンダーだ。引間賢太・執行役員技術本部長によると、L2Blockerは現在、市場においてトップクラスのシェアを誇っているが、その一方で「市場としてはまだまだニッチで、あまり知られていないのが現状」との課題を認識している。そこで、同社はパートナーと連携して、不正端末の接続防止だけでなく、さまざまな面からL2Blockerの有効性を打ち出すことで販売増を狙い、トップベンダーとして市場規模や認知度の拡大をけん引していこうとしている。

L2Blocker
不正接続だけでない提案
L2Blockerは業種業態規模を問わず、さまざまな企業に提供し、「不正接続する端末を排除したい」「ネットワークの利用状況を把握したい」といったニーズに応えてきた。また、植松卓・技術本部プロダクト&サービス部部長によると、近年では、「IT資産管理ツールと組み合わせて利用するケースが増えてきている」といい、IT資産管理ツールで管理していない端末による社内ネットワーク利用を防止し、セキュリティレベルを向上させたい企業からの導入も進んでいると話す。
また、無線LANのセキュリティ対策として、L2Blockerを提案することに力を入れている。アクセスポイントの利用増や、持ち込みアクセスポイントの存在を背景に、MACアドレスの収集によりアクセスポイントを管理できるL2Blockerを用いることで、アクセスポイントにつながる管理外の端末や、管理外のアクセスポイントをブロックできる。「無線LAN環境の構築時に、L2Blockerを組み合わせると、より強固なセキュリティ対策を施すことができる」(植松部長)ことから、無線LANとともに導入するケースも増えているようだ。

引間賢太・執行役員技術本部長(左)と
植松 卓・技術本部プロダクト&サービス部部長
さらには、標的型攻撃から守る内部対策ツールとして、エンドポイントセキュリティの機能強化に目を向ける。すでにオプションとして管理対象端末のポリシーをチェックする「Endpoint Monitor Option」を用意。このほか、「端末内のぜい弱性を検知してはじくような機能」の提供をはじめ、「マルウェア被害の拡大を防ぐツール」としての位置付けを強めていくという。
パートナーとの連携を強化
こうしたことを踏まえ、ソフトクリエイトでは、既存のセールスパートナーと販売面で連携していくと同時に、新たにアライアンスパートナーというかたちで、「(L2Blockerを)不正接続端末対策だけでなく、IT資産管理や無線LAN、エンドポイントセキュリティの分野といった、別の角度から製品を広めていけるようなパートナーと組んでいきたい」(引間執行役員)との方向性を示す。アライアンスパートナーが得意としているセキュリティ分野で協業し、アップセル、クロスセルで製品を拡販していく考えだ。
市場としては前年比115%~120%で成長しているが、「L2Blockerはここ2年間、これを上回る前年比150%の成長をみせている。14年に発売したクラウド版についても、小規模企業や店舗などを中心に引き合いがあり、L2Blocker全体の約20%を占めている」(引間執行役員)など高い伸び率を誇っている。今後、ユーザーの要望を製品に反映しつつ、パートナーとの関係をより密にしていきながら新規ユーザーにアプローチしていくことにより、トップベンダーとして市場拡大に寄与していく。