【北京発】5月26~28日、「第20回中国国際ソフトウェア博覧会(INT’L SOFT CHINA 2016)」が開催された。工業和信息化部(工信部)や中国軟件業協会(CSIA)などが主催する中国ソフトウェア業界有数の展示会で、各省や市、外国から約600社が参加した。展示会場には、昨年は無かった日本エリアも特設され、初めて日本のソフトウェアベンダーが出展。中国での販路拡大に向けて自社商材をアピールした。(上海支局 真鍋 武)
風向きが変わった
「INT’L SOFT CHINA」は、中国ソフトウェア業の交流と振興を目的とした国内有数のイベントだ。20回目の開催となるが、実は過去に日本のソフトウェアベンダーが出展したことはなかった。今回の出展は、コンピュータソフトェア協会(CSAJ)が企画し、中国ビジネスに高い関心をもつソフトウェアベンダーを集めたことで実現。CSAJには、このイベントを日本のソフトウェアの中国展開の足がかりにするとともに、CSIAとの関係づくりを進める狙いがある。

イベントが開催された北京展覧館
このタイミングで初出展した理由について、CSAJ理事の五十木正氏(ワークスアプリケーションズ執行役員)は、「中国ビジネスの風向きが変わった」と話す。近年、中国企業のビジネスモラルは、国内を意識したものからグローバル基準を意識したものに変わりつつある。最近では、ソフトウェアの違法コピー行為を批判的にみる企業も増加。また、中国企業は規模拡大と同時に人件費が高騰し、生産性向上を目的とした人材育成・管理のためのシステム需要が旺盛。こうした背景から、外国企業にとってのビジネスチャンス拡大が期待されている。

中国各地や外国から約600社が出展
高まる中国企業の需要

デザイン・
クリエィション
竹原 司
最高顧問 実際、出展した日本企業は、中国企業の需要の高まりを感じている。機械設計CADパッケージを展示したデザイン・クリエィションの竹原司最高顧問は、「中国では、設計業務の効率化に向けた取り組みが増える」と話す。中国の製造市場はすでに巨大だが、昨年からは製造業の高度化を図る「中国製造2025」政策が推進されており、さらなるIT活用が期待される。同社は92年に中国ビジネスを開始し、パートナーの北京大凱科技を通してオフショア開発を手がけるとともに、自社パッケージをOEM供給して「BCAD-GB」の製品名で販売してきた。すでに、中国で100社ほどの有償販売実積を挙げているが、今回は販路拡大にあたっての販売代理店の獲得を目的に出展した。竹原最高顧問は、「中国は世界有数の巨大市場。この市場を開拓するには、時間と人脈が必要だ。粘り強く推進していきたい」と意欲をみせる。

エムケイシステム
三宅 登
代表取締役 エムケイシステムは、社会保険・労働保険などの申請手続きシステム「社労夢」を紹介。同社は2014年から中国での商品販売を模索しており、三宅登代表取締役は、「現地法人を設けずに、パートナーへのOEM供給による展開に絞っている」と戦略を語る。今回は、そのための開発・販売パートナー開拓を目的に出展した。
実は、中国には日本のような社会保険労務士の制度がなく、FESCOや中智といった人材派遣会社が業務代行するケースが多い。三宅代表取締役は、「中国では省単位はもちろん、省内の市ごとでも、社会保険の仕組みが異なる。そのため、今後は日本が培ってきた社会保険制度が中国でも必要となってくる可能性が高い」とみる。今後は、開拓したパートナーを通じて「社労夢」の中国語版ローカル版を開発し、まずは特定の市でパイロット版として利用してもらえるようアプローチを進めていく方針だ。
パートナー開拓に活用

文雅科信息技術(上海)
大垣考広
総経理 ウイングアーク1stの中国法人である文雅科信息技術(上海)は、BIツール「Dr.Sum EA」と帳票作成・運用ツール「SVF」を展示。実は、同社はCSAJの会員ではないが、中国の地場パートナーの開拓に有効的だと判断して、今回の出展に至った。大垣考弘総経理は、「各地域(省)単位でブース出展があるため、それぞれの地域でパートナーを開拓できる可能性が高い。上海や北京と比べ、地方は当社製品との競合も少ないため、マーケットとして魅力的だ」と話す。同社では、本拠地の上海で着実に案件を創出していくと同時に、地方では地場ベンダーとの協業を通じて拡販につなげる考えだ。

インフィニテック
呉本 舜
営業部営業GP ネットワークプリンタ運用管理ソフト「PrintOne V6」を紹介したインフィニテックは、今回の出展を通じて中国ビジネスに再挑戦。同社は、09年に中国に進出し、5社程度の顧客を得ていたものの、その後の日中の政治摩擦などの影響を受けて、一旦ビジネスを停止していた。今回の出展では、PrintOne V6の販売代理店やOEM供給先のパートナーを募集。同製品は、特定ベンダーの製品だけでなく、マルチベンダーに対応しており、中国の発票用プリンタなども管理できる。呉本舜・営業部営業GPは、「5年ほど前に中国の展示会に出展した際は、来場者に価格が高いといわれたが、今回の反応は違った。中国の物価が上昇し、価格が高い日本製品の導入のハードルが下がってきている」とビジネスチャンスを感じていた。

初めて日本エリアが特設された
このほか、フォーラムエイトは、土木道路設計や交通シミュレーションなどに利用できる3次元リアルタイムVRソフトウェアパッケージ「UCーwin/Road」を紹介。同社は7年前に現地法人を立ち上げ、すでに政府機関や教育機関などの地場顧客を獲得している。今回は、VRの実用例となる実機を展示して来場者の関心を集めた。また、ワークスアプリケーションズは、3月に中国で販売した人工知能型ERP「HUE」(海外名称:AI WORKS)を展示した。

フォーラムエイトはVRシステムの実機を展示