Special Issue

連載 第3回 日本全国の企業を支えるDynabook 地域に根差した営業活動の実態を探る

2025/10/30 09:00

週刊BCN 2025年10月27日vol.2080掲載

 世界初(1)のノートPCである「dynabook」は誕生から36年を数え、日本を代表するPCブランドとして広く浸透している。2024年度にはノートPCのブランド別で国内シェア1位(2) を獲得し、市場からの高い評価を裏付けた。そのブランド力の根源には、製品開発を支える技術力はもちろん、全国約50カ所の拠点で構成される営業・サポート網、さらには各拠点と深くつながるパートナーの存在がある。各拠点の実態を通じて、コンピューティングとサービスで地域の顧客を支え続けるDynabookの本質に迫る。
 

(1):1989年、世界初のノートPC「DynaBook J-3100 SS001」を発売
(2):「IDC Quarterly Personal Computing Model Analysis」(※)は、IDC独自の調査手法に基づき、各情報ソースのガイダンスを用いて、PC製品市場規模、ベンダーシェアの実績や市場予測を定期的に提供するデータベース製品です
※Source:IDC Quarterly Personal Computing Model Analysis 2025Q2 Share by Brand   ※2024年(1月~12月) ALLSegment合計。Dynabook社のシェアは14.7%

 

東日本支社
新規パートナーを増やし、広大な市場を開拓

 第3回は東日本支社に焦点を当てる。北海道から北陸、関東エリアまで広大な範囲を担う石川祐介・支社長は「地域ごとに異なる商慣習やニーズに合わせた戦略が必要」と語る一方で、「新規のパートナー、お客様の開拓という施策では共通している」とし、エリア全体でのさらなるシェア拡大に意気込む。
 
東日本支社
石川祐介 支社長

地域に合わせて施策を展開

 東日本支社は東京・豊洲に拠点を置く東京ビジネスパートナー第一、第二営業部や公共営業部、東日本ソリューション技術部、ビジネスサポート部、そして北海道、東北、関東北信越、神奈川の各支店を管轄する。130人の体制で広範なエリアを担当し、石川支社長は「パートナービジネスを主体にした支社だ」と語る。地方拠点については「地域密着が最重要だ。各地域でやり方、考え方が全く違う。地域ごとの考え方に沿った施策を立てている」とし、東京の市場に向けては「シェア拡大を狙う施策を重視している」と戦略を切り分けている。

 一方、地方と東京で共通する取り組みとして、新規パートナーと新規顧客の開拓を挙げ、「ノートPC国内シェア1位(2)の達成で認知度が上がった今こそ、獲得しやすい環境にある」と強調。2026年以降は「Windows 10」のサポート終了を受けた特需の反動で、市場の大きな落ち込みが見込まれる中、「反動減を新規顧客で補えれば、リカバリーできる」と見通す。

 新規パートナーの獲得では、ものづくりへの考え方や製造・販売・サポートが一体となっている強み、パートナー対応のあり方などを丁寧に説明することが重要だとし、その上で「パートナー様が求めている方向に沿って一緒に取り組めるような提案をしたい」とする。

 豊洲に拠点を置き、主に関東エリアを担当する各部署については、パートナー開拓による販売拡大に加え「PCだけでなく、ソリューションをはじめとしたDynabookが有する付加価値を合わせ、新しい提案を展開してほしい」と期待を寄せる。


住所:〒135-8505 東京都江東区豊洲5-6-15 (NBF豊洲ガーデンフロント 7階)
電話番号:03-5144-3360(東日本支社代表)

関東でのシェア拡大へ意欲

 ビジネスのさらなる飛躍に向けては、市場規模が大きい東京周辺でのプレゼンス向上が鍵を握る。このエリアで活動する4部門の責任者はそれぞれの立場から、シェア拡大に意欲を示す。ビジネスの現状や課題、今後の展望を聞いた。

各部署の役割と現在の取り組みについてお聞かせください。

両満 東京ビジネスパートナー第一営業部は、大手ディストリビューターの3社を担当し、問い合わせ対応や商品紹介などを行っています。ときには、ディストリビューター様と取引している二次店様にもお伺いし、製品を最適に提案していただけるように支援しています。
 
東京ビジネスパートナー 
第一営業部
両満 貴 部長

山下 東京ビジネスパートナー第二営業部は東京、千葉、茨城、山梨の4都県で約60社のパートナー様を担当しています。現在は新規のパートナー様を開拓し、お客様を増やす活動に注力しています。パートナー様に喜んでいただける支援を通じて、当社とパートナー様双方のビジネス成長につなげることが役目だと感じています。
 
東京ビジネスパートナー
第二営業部
山下和也 部長

荘田 公共営業部は国や地方公共団体、文教市場を直販で担当しています。エリアは第二営業部と同じで東京、千葉、茨城、山梨で、地方に関しては、人員的な都合もあり、第二営業部と協力して、パートナー様と連携しながら対応しています。目下のミッションとしては、エリア内でのシェア拡大だと認識して営業を展開しています。
 
公共営業部
荘田洋士 部長

武井 ソリューション技術部は、営業部門と連携して技術的な支援を行っています。マスター作成をはじめとしたキッティングやLCM関連のサポートを東西のLCMセンターと協力して行ったり、「Active Directory」などの認証系の実装、PC管理系を中心としたサーバー構築、「Microsoft Azure」の設計・構築などを手掛けたりしています。
 
東日本ソリューション
技術部
武井清利 部長

ワンストップ体制が生む競争力

パートナー向けには、どのような点に力を入れていますか。

両満 最近はdynabookの認知度向上で問い合わせ件数が格段に増えており、より素早くレスポンスできるよう取り組んでいます。例えば、製品の導入から運用、更新までのライフサイクルをワンストップで提供できる唯一のメーカーである点が、パートナー様のメリットになることをしっかり説明し、選んでいただけるようにしたいと心掛けています。

山下 ワンストップという点では、一つ成功事例があります。あるお客様がIT部門の人員不足で悩んでいたケースで、マスター作成からデータ移行、現地展開まで提案したところ、1社だけで完結できる点を非常に喜んでいただきました。その後、これまでは競合とのコンペティションを実施していたのが、継続的に当社に任せていただけるようになりました。第二営業部としても、パートナー様やお客様の立場に立って、柔軟かつスピーディーに行動することを方針としています。

公共向けの活動で意識していることを教えてください。

荘田 公共案件は前年度の予算要求が全てで、予算化されていないものへの対応がほぼない点が民間とは異なり、前年度にいかに準備できるかが重要になります。入札が公になる以前の段階で、官公庁のお客様が求めているものをしっかりとヒアリングすることが大切です。また、当社にしかない独自の機能やサービスをアピールしようにも、入札の仕組みに反映しにくい面があり、その部分をどうクリアするかが課題です。

 パートナー様に関しては、千葉、茨城、山梨では地元のパートナー様が非常に強く、そこはしっかり連携したいと考えています。最近では、入札参加業者の企業評価を求められる部分があり、そこが強いパートナー様と手を取り合いたいですね。

ソリューション領域における最近のトレンドは何ですか。

武井 全体的にクラウドを活用する方向へ進んでいると感じています。その流れの中で、「Windows 11」への移行を契機として、「Autopilot」を検証・検討したいという相談が増えています。「Microsoft 365」への移行、クラウドとオンプレミスのハイブリッド環境構築についての相談も多い印象です。また、「WSUS」(Windows Server Update Services)の将来的な廃止方針を受け、今後は「Intune」への関心も高まっていくのではないでしょうか。

 背景にあるのは、IT部門の業務効率化ニーズです。DXやAI活用などの業務に注力したいIT部門が、クライアント管理などの作業を効率化する流れが強まっています。

パートナー、顧客と信頼関係をつくる

今後の抱負や意気込みをお願いします。

両満 ディストリビューター様や販売店様の営業担当者一人一人に「Dynabook製品を売りたい」と思っていただける提案活動の実現を常に心掛けながら取り組んでまいります。

山下 部内では「凡事徹底」をスローガンに掲げています。当たり前のことを徹底して取り組む。私たちで言えば、パートナー様、お客様との信頼関係を構築することが一番重要だと考えています。

荘田 製品やサービスによる業務の効率化によって、住民サービスの向上が見込めるといったように、住民に対して利益を還元できる点を意識して対話や提案を行い、公共のお客様が求めるものを着実に把握していきます。

武井 重要なのは伴走型の支援です。例えば、Autopilotの導入では事前検証を踏まえて、できること、できないことを整理して代替策まで提案します。お客様と一緒に歩み、次の展開を見据えて取り組むことで、良い評価をいただいています。これを継続し、丁寧に課題を解決したいです。

 
 
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外部リンク

Dynabook=https://dynabook.com/