「Track B」の第3セッションでは、ディー・ディー・エスの久保統義・営業担当取締役兼バイオ事業本部本部長が、「指紋認証シェアNo.1のDDSが動画顔認証を初披露」と題し、生体認証で多くの実績をもつ同社が新たに開発した動画顔認証技術を、デモンストレーションを交えながら紹介した。

動画顔認証技術の精度とスピードをデモ

久保統義
取締役 名古屋に本社を置く同社は、地元大学と連携して主に組み込みソフトウェアの研究開発を行っているが、独自に開発した「周波数解析法」を用いた「ハイブリッド指紋認証技術」が市場で評価され、指紋認証システムで大きなシェアを獲得している。とくに自治体では、マイナンバーを取り扱う端末で、従来のID、パスワード認証だけではなく、ICカードや指紋を組み合わせた多要素認証の導入が求められており、漏えいや紛失によるなりすましのおそれがない生体認証技術が注目されているという。
同社では、指紋や静脈に続く認証要素として、新たに顔認証技術を開発。10月より提供を開始する多要素認証プラットフォーム「EVE MA」の新バージョンに搭載する。顔認証は近年普及が進む技術だが、同社の顔認証エンジンは動画を用いているのが特徴。久保取締役は「動画を用いることで、顔の角度の変化に強く、別途横顔を撮影するといった手間もない。また、認証時に1回読み取る指紋認証と異なり、動画なら正規のユーザーを常時認識し、離席時に端末をロックすることも可能」と動画顔認証のメリットを説明。動画顔認証技術としては欧州ベンダーに次ぐ世界第2位の認識率(米国国立標準技術研究所の2016年度中間報告による)という。 顔認証の使用にあたって専門的な機材は不要で、ノートPC内蔵のカメラや、市販の安価なUSB接続カメラで対応可能。Windows PCへのログオンのほか、ウェブアプリケーションのユーザー認証にも利用でき、同社では前出の地方自治体のほか、医療機関や金融機関など幅広い業種・業務でニーズがあるとみている。
また、同社では今年7月に認定販売パートナー制度を創設し、講演時点で63社が加盟している。EVE MAはActive Directoryとの連携、仮想デスクトップ環境への対応も可能となっており、久保取締役は来場者に向けて「自社のソリューションに顔認証技術を加えたいと考える方は、ぜひ声をかけてほしい」と呼びかけていた。