ポートフォリオの統合成果を市場に問う

 米デルテクノロジーズ(マイケル・デル会長兼CEO)は、5月8日から11日までの4日間、米ラスベガスで、「Dell EMC World 2017」を開いた。16年9月にデルがEMCの買収を完了してから約8か月。両社グループのポートフォリオを融合したことにより生まれた製品を複数発表するなど、早くも統合の成果が実際のかたちになっていることを強くアピールしたといえるだろう。イベント全体を通したキーメッセージなどについては既報(週刊BCN 1678号2面、週刊BCN+5月9日、同5月11日掲載)だが、ここでは、現地で発表された主要な新製品や新施策を中心に振り返る。本多和幸)

201706051716_1.jpg
マイケル・デル会長兼CEOは、デル・テクノロジーズの包括的なポートフォリオが
市場における優位性を支えていると強調した

第14世代PowerEdgeが登場

 デルテクノロジーズがDell EMC World 2017で発表した新製品は、エンタープライズ事業を担うDell EMCのポートフォリオを中心に、サーバー、ストレージ、データ保護、ソフトウェアデファインドストレージ(SDS)、ハイパーコンバージドインフラ(HCI)など多岐にわたる。それでも、今回発表された新製品の目玉を敢えて挙げるとすれば、第14世代のPowerEdgeサーバーということになるだろう。今夏リリース予定のインテルの次世代Xeonを搭載しており、次世代Xeonのリリースを待って、同じく今夏に市場投入する。デル会長兼CEOの言を借りれば、「新しいデータセンターの基盤として使われる製品で、オールフラッシュ、クラウド対応、スケーラブルという特徴がある」という。ただし、具体的な仕様や詳細なスペックは明らかにされなかった。続報が待たれるところだ。
 
201706051716_2.jpg
第14世代PowerEdgeサーバーのモック展示も

新PowerEdgeはHCIの進化も促す

 デジタル変革を実現する前段として、インフラレイヤでのIT変革を実現するための主要製品として、目下、Dell EMCが最重要注力分野として位置づけるのが、HCIだ。この領域でも、各製品がアップデートされた。HCIアプライアンスのVxRailは、昨年10月の「Dell EMC World 2016」でPowerEdge搭載版を発表し、旧デル、旧EMCの融合による製品開発上の成果の先駆けとなったが、Dell EMC World 2017では、最新の「vSphere 6.5」を採用した「VxRail 4.5」を発表。第14世代のPowerEdgeのリリースとともにハードウェアもアップデートし、第14世代のPowerEdgeをベースとした新機能も提供する予定だという。最低価格を2万5000ドルに引き下げ、スモールスタートのニーズにも応えた。

 また、関連して、VxRailと「VMware Horizon」を統合し、VDIとアプリケーション仮想化を包括的にカバーするパッケージ製品として「Dell EMC VDI Complete Solutions」も発表した。

ストレージのラインアップも刷新

 ストレージ製品も刷新し、ハイエンド製品のVMAXシリーズでは、オールフラッシュの新モデル「VMAX 950F」を発表した。前世代製品比でIOPSが68%向上し、レスポンスタイムが30%短縮されるとしている。また、同じくハイエンドを担うものの、“フラッシュネイティブ”ともいえるXtremIOについても、第2世代の新シリーズ「XtremIO X2」を発表。これも前世代製品比で、80%のレスポンス改善を実現しているという。
 
201706051716_3.jpg
XtremIOは第2世代に

 ミッドレンジ製品では、ユニファイドストレージのUnityでオールフラッシュの新モデルを投入したほか、経済性重視でSSDとHDDのハイブリッド構成が可能なSC(旧Compellent)シリーズも、性能と容量を大幅に拡張した「Dell EMC SC5020」を発表した。

 非構造化データ向けのスケールアウトNASストレージであるIsilonについても、次世代アーキテクチャを採用し、オールフラッシュへの対応も可能とした。これにより、IOPSは6倍、設置スペースは75%削減できるという。
 
201706051716_4.jpg
Isilonも次世代アーキテクチャを採用し、オールフラッシュに対応

 さらに、ソフトウェアデファインドストレージ(SDS)の「ScaleIO」も、第14世代PowerEdgeに対応し、パフォーマンスや容量効率の大幅な向上を図った。

HCIの“サービス化”モデルも

 HCIやストレージについては、「クラウド的」(ゴールデン・プレジデント)と表現する、初期投資不要、従量課金制・月額払いの新たな導入モデルを発表したのも大きなトピックだ。PCについても、本体とソフトウェア、サポートサービスなどをセットで月額料金制のサービスとして提供する「PC as a Service」をグローバルで展開することをあらためて発表した。PCからITインフラまで、ハードウェアを“サービス”として利用できるモデルを用意し、より幅広いユーザーを取り込んでいく素地を整えたといえそうだ。ただし、この新しい導入モデルは、デルテクノロジーズとしてもどの程度市場ニーズがあるかは把握できていないとしており、試行錯誤での運用が続くとみられる。