SIerは関連商材やサービスの拡充を急ぐ

 人材不足に悩むユーザー企業が、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)やAI活用などのSIerが提案する「働き方改革」関連商材やサービスに強い関心を示している。従来の時短(労働時間の短縮)やテレワークに代表される初歩的な提案から、組織的な生産性の向上や売り上げ/利益を伸ばす提案へと、関連商材やサービスが進化。「働き方改革」を切り口にSIerが攻めのビジネスに乗り出している。(安藤章司)

日立ソリューションズ
伊藤直子
担当部長

 日立ソリューションズでは、時短やテレワークの次のフェーズとして「組織の生産性向上」に焦点をあてる。独自に開発したbot方式の「AIアシスタント」の投入や、日系企業では初めて米大手RPAベンダーのオートメーション・エニウェアの販売代理店になるなど、商材やサービスを拡充している。反復作業や日々のルーチンワークをできる限り自動化して、「新しくつくりだした時間を、より創造的な仕事にあてがう」(伊藤直子・ワークスタイル変革ソリューション部担当部長)ことで、価値創出につなげようというアプローチだ。

 働き方改革では、残業の抑制やテレワークを活用した在宅勤務などが第1フェーズとして挙げられる。日立ソリューションズの30代男性のケースでは、在宅勤務によって削減した通勤時間約2時間半を、家事に1時間半、個人の時間に1時間それぞれ割り振っていた。労働時間はそのままに家族や個人の時間が増えたことで、ワークライフバランスが改善。同社は次のフェーズとして労働生産性の向上に着目している。

 7月20日から販売を始めるAIアシスタントは、ユーザーの問いかけに応答する対話型のAI。業務システムを横断的に検索し、必要な情報をユーザーに代わって探し出す。例えば新入社員が「昨年のAプロジェクトで技術を担当していたキーマンは?」と聞くと、「○○技師と○○主任です」と答えることで、キーマンを探す手間を省くといった具合だ。そしてRPAで日々の入力作業といった“定型業務”を自動化する。

 ユーザー企業を俯瞰すると、テレワークなどの初歩的な働き方改革ができていないケースもあれば、すでに第2フェーズに取り組むユーザーまで、その成熟度にはバラツキがある。日立ソリューションズはユーザーの成熟度に合わせた働き方改革を提案することで、関連ビジネスを直近の約60億円から2020年度には150億円規模へ伸ばせると手応えを感じている。
 

キヤノンITS
岡田 知
スペシャリスト

 キヤノンITソリューションズ(キヤノンITS)も、自社開発の超高速開発ツール「Web Performer」とNTTデータ イントラマートの業務改善プラットフォーム「intra-mart」、NTTアドバンステクノロジのRPA「WinActor」の三つを連携させる取り組みを7月下旬からスタートさせる。Web Performerで“便利アプリ”を自動生成したり、WinActorを適用するなどして反復作業やルーチンワークをなくし、さらにintra-martでワークフローに横串を通すアプローチだ。

   1日わずか30分のルーチンワークでも、20日で10時間になる。「すきま時間を削減し、ユーザーの売り上げや利益をより伸ばす時間をどう増やすかが勝負どころになる」(岡田知・ソリューション企画第二課アドバイザリーアプリケーションスペシャリスト)と、働き方改革を切り口に社内外の商材やサービスを組み合わせて、ビジネスに一段と勢いをつけている。