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日本マイクロソフト 「働き方改革」の国策がクラウド伸長の追い風となる

2017/08/24 09:00

週刊BCN 2017年08月21日vol.1690掲載

国内売り上げの約50%がクラウドに

 「クラウドの売り上げが、直近の四半期で全体の47%になった。私が社長に就任してから40%増えたことになる」と、日本マイクロソフトの平野拓也社長は新年度経営方針の会見でクラウドビジネスが好調だとアピールした。日本マイクロソフトの社長に就任したのは、2015年7月1日。社長就任から2年でクラウドへの移行が着実に進んでいる。平野社長は、その要因を「働き方改革」にあるとした。(畔上文昭)

働き方改革関連が好調

 働き方改革が国策として推進されていることで、関連のソリューションに追い風が吹いている。なかでもテレワークやモバイルワークなど、オフィスに行かなくても仕事ができるワークスタイルの実現に向けたソリューションが好調だ。日本マイクロソフトのクラウド戦略は、その追い風を受けた結果というわけである。

 マイクロソフトは働き方改革の一環として、14年から、それまで社内で実施していた「テレワーク週間」をパートナー企業などに参加を呼びかけ、共同で実施してきている。テレワークは地方での就労を可能にするとして、当初は地方創生の切り札として取り組みが始まった。現在も、それは変わらないが、テレワーク自体の歴史は古く、企業側の制度が整わなければ難しいとの見方が強かった。そこに働き方改革が推進されるようになったことで、企業側の意識が変わり、テレワークが推進されるようになってきている。

 先行してテレワークに取り組んできたマイクロソフトでは、クラウドビジネスへの転換期とも重なり、追い風に乗ったかたちである。「クラウドビジネスの状況は、2年前と全然違う。当初は『Office 365』頼みのところがあったが、『Azure』が売れるようになった」と、平野社長。同社のパートナー各社も、Azureに対する理解が深まっていることを実感するようになったと語った。なお、マイクロソフトのグローバル全体におけるクラウドの売り上げは、17年度(16年7月1日~17年6月30日)で900億ドルに到達。そのうち、法人向けは189億ドルで、Azureが97%、Office 365が43%、「Dynamics 365」が74%の伸びとなった。Office 365の売り上げは、オンプレミスのOfficeを超えたという。

DXも働き方改革で推進

新年度の経営方針を発表する
日本マイクロソフトの
平野拓也社長

 平野社長は「17年度はデジタルトランスフォーメーション(DX)元年だった」と1年を振り返り、働き方改革の推進がDXに大きく貢献したと説明した。働き方改革の推進においては、テレワークやモバイルワークのほか、人工知能(AI)も貢献しているとして、AI搭載のビジネスサポートツール「MyAnalytics」を挙げた。また、日本マイクロソフトでは18年度の予算をAIが策定したとして、AI活用による働き方改革が社内でも進んでいることをアピールした。

 また、「日本の労働人口が減っていくなかで、生産性を上げるためのソリューションに対するニーズが高くなっている」ことから、引き続きDXと働き方改革を推進していく必要があるとした。

働き方改革は第二章へ

 平野社長は、日本マイクロソフトにおける働き方改革の今後の取り組みを「働き方改革 第二章」として説明した。ポイントは「社内のさらなる改革」「お客様への貢献」「社会へのコミットメント」の三つ。まずは、社内ということで、育児関連の制度改革、育児で離職した女性の活躍支援としてインターンシッププログラムを用意するという。ユーザー企業に対しては、AIを活用し、テレワークを超えるソリューションの提案を進めるとした。

 「革新的で、安心して使っていただけるインテリジェントテクノロジーを通して、日本の社会変革に貢献する」と、目指す企業像を説明した平野社長。非営利になりがちな社会貢献を、日本マイクロソフトは、しっかりとビジネスにつなげていく。
 

「テレワーク難民」救済へ
新製品とコンソーシアム設立を発表

 ブイキューブ(間下直晃社長)とレノボ・ジャパン(留目真伸社長)は8月1日、都内で記者発表会を開き、コミュニケーションブースの新製品「テレキューブ」を開発し、同日から販売を始めたと発表した。
 

テレキューブコンソーシアムには、ブイキューブとレノボ・ジャパンのほか、アイ・オー・データ機器、
アイ・ティー・エックス、インフォテリア、NTTドコモ、岡村製作所、樹楽製作所、サイボウズ、
綜合警備保障、大日本印刷、東京電力ホールディングス、日本テレワーク協会、日本マイクロソフト、ノジマ、
パソナ、森ビル、リクルートホールディングス、リコーが参加

 間下社長は、「日本でもテレワークが広がる機運が高まってきたが、会話でコミュニケーションがとれる場所がないことが非常に大きな課題だ」と指摘し、「テレキューブで、世の中のテレワーク難民を救済したい」と意気込みを語った。

 テレキューブは、底辺が1.1メートル四方で、高さは2.2メートル。重量は約296キロ。レノボ・ジャパンの超小型デスクトップPC「ThinkCentre M710q Tiny」や電源などが備えてある。
 

電話ボックス型の「テレキューブ」

 ユーザーは、ブースのなかに入り、ブイキューブの「V-CUBE ミーティング」や日本マイクロソフトの「Skype for Business」などを使ってテレビ会議に参加できる。外部への音漏れを気にせず、秘匿性の高い会話をすることが可能。

 発表会では、両社に加え、サイボウズや日本マイクロソフトなどが参加する「テレキューブコンソーシアム」の設立も示された。コンソーシアムは、2020年までに累計5000台強の販売を目標に設定した。今後、テレキューブを活用したサービスの提供などについて検討する。
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外部リンク

日本マイクロソフト=https://www.microsoft.com/ja-jp