東芝デジタルソリューションズ(錦織弘信社長)は、IoT/AI戦略の最前線を担う子会社・東芝デジタル&コンサルティングを、この4月2日に立ち上げた。東芝のIoTアーキテクチャ「SPINEX(スパインエックス)」をベースにしたコンサルティングを主力として、導入効果をコミットするスタイルを重視する。SPINEXのなかには、東芝のAIを内包しており、AIを有効的に使うには顧客のもつ“データ”を使うのが近道。新会社では、顧客のデータ活用まで踏み込んで、より確実に成果を出せるよう取り組んでいく。(安藤章司)

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沖谷宜保
社長

 SPINEXのなかには、人間とのコミュニケーションに強いAI「RECAIUS(リカイアス)」と、昨年10月に発表したばかりのデータ分析用のAI「SATLYS(サトリス)」などを内包している。これらAIは、客先で日々発生する生データを学習して、刻一刻と変化する状況に適応する能力をもつ。しかし、AI自体も成長の過程にある。データの分析結果から、アルゴリズムを手直ししたり、新しいアルゴリズムを開発するなど、「継続的な改善や、次の開発へのフィードバックが不可欠」(東芝デジタル&コンサルティングの沖谷宜保社長)という。

 従来の一般的なSI手法では、顧客の要件に沿ってシステムを構築し、ダミーのテストデータを流して動作を検証。問題がなければ顧客に検収してもらう。納入先で本稼働したあとのシステムは、データ保護の観点から、部外者であるSIerがユーザーの生データに触ることは難しい。そこで、この4月に立ち上げた新会社では顧客と成果目標を共有し、「顧客と価値を共創する」(同)かたちで、ともにデータを分析。AIの性能やSPINEXそのものの導入効果を最大限に引き出すことを目指す。
 
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 東芝デジタルソリューションズの顧客は、大手製造業や社会インフラ、エネルギーなど、規模が大きい傾向がある。こうしたユーザーは、自前でデータ分析のエンジニアを抱えているケースが多く、従来のSI手法では“ともにデータを分析”するところまでたどり着けないケースが多かった。新会社では、顧客のもつデータと、東芝デジタルソリューションズの本業であるSIを橋渡しして、より確実に成果を出せるよう努める。

 沖谷社長は、「IoTはデバイス(機械)とデータ(情報)のインテグレーション(統合)」だと定義。これにAIをはじめとするソフトウェア群を組み合わせることで、ソフトウェア制御によるより柔軟なIoTシステムを実現させる。新会社は、まずは50人体制でスタートしたが、業種・業態に詳しく、IoT/AIの専門的な知識をもつ人材の独自採用にも力を入れる。

 東芝本体も「デジタルトランスフォーメーション戦略統括部」を4月1日付で発足。東芝デジタル&コンサルティングと歩調を合わせるかたちで、SPINEXを軸としたIoTビジネスを推進。東芝グループ全体でのIoT関連売上規模を2016年度の2000億円から19年度に3000億円へと拡大することを目指している。