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複数のサーバーを一つに束ねるソフトウェア――タイダルスケールジャパン

2018/06/21 09:00

週刊BCN 2018年06月18日vol.1731掲載

  米タイダルスケール(TidalScale)が、データセンターなどに適したサーバー仮想化ソリューション「TidalScale Software-Defined Servers」を日本で提供する。同ソリューションは複数のコモディティサーバーを一つに束ね、巨大な仮想マシンを構築できるので、インメモリデータベースなどの要求の厳しいアプリケーションを実行できる。(山下彰子)

巨大仮想マシンはインメモリデータベース用途に


 サーバーの仮想化というと、VMwareのvSphereのようにサーバー仮想化ソフトウェアによって一台のサーバーを複数の仮想マシンに分け、その上で異なるアプリケーションを動かすハイパーバイザーをイメージするだろう。タイダルが推し進めるSoftware-Defined Serversは、「それとは逆の考え方」とタイダルスケールジャパンの石井洋介カントリーマネージャーは話す。

 同ソリューションは複数の物理サーバーを仮想化技術で抽象化し、単一のシステムとして利用を可能にする。本社でワールドセールスを担当するデイブ・フェレッティ・バイスプレジデントは、「ソフトウェアを複数の物理サーバーにインストールするとCPUやメモリを集約し、一つのOS上で単一のシステムとして動作する」と説明する。

 タイダルスケールは、かつてSAPの研究担当上級副社長を務めたアイク・ナッシ氏が2013年に設立した。SAPのテクノロジーのビジョン、方向性が見えていたアイク氏には、インメモリデータベースの普及が加速すること、その時にアプリケーションに柔軟に対応できるインフラが必要になることがわかっていたはずだ。

 フェレッティ・バイスプレジデントは「これまではサーバーにアプリケーションを合わせてきた。時にはアプリケーションを改修することもあったが、Software-Defined Serversの考え方なら、アプリケーションに必要なだけ、インフラを追加できる。サーバーの制限を考慮する必要がない」と説明する。
 
左から米タイダルスケール デイブ・フェレッティ
バイスプレジデント・ワールドワイドセールス担当、
タイダルスケールジャパン 石井洋介カントリーマネージャー

 主な用途としてSAP HANA、Oracle Database In-Memoryなどのインメモリデータベースの利用を挙げる。既存のサーバーや汎用サーバーをつなげることで、高額なサーバーと同等の性能を安価に得ることができるという。 もう一つの用途がIoTだ。「IoTは扱うデータがどれくらいになるか予測できない。そのため最初から大規模なシステムの構築が必要になり、初期コストがかかる。その点、Software-Defined Serversはリソースの追加、削除が簡単にできる」と強調した。

 さらに石井カントリーマネージャーは「一つのOSでシステムを構築するので、アプリケーションごとのOSすべてにパッチをあてる必要がない。セキュリティパッチの更新などにかかる管理コストを下げられる」と説明した。

 オンプレミス環境のほか、パブリッククラウドでも使える。現時点ではIBMとオラクルの2社のパブリッククラウドに対応しており、もう1社のパブリッククラウドベンダーと協業の準備を進めているという。

 販売網については、日本法人を今年3月末に設立したばかりなので、今後大学や研究所と強い結びつきのあるリセラー、SAP製品や仮想化に強いリセラーなど、年内までに5~8社ほど増やしていきたい考えだ。
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