米バーチャストリームは、日本を含むアジア市場の展開を強化している。2017年9月には日本事業本部とVirtustream Enterprise Cloudの日本リージョンを開設。直近の18年6月末には韓国リージョンを開設した。アジア市場について同社は、世界の3分の1を占めるようになると読んでいる。そのなかでも注力するのが、日本市場だ。(山下彰子)

 15年にEMCが買収した米バーチャストリーム。基幹システム向けのエンタープライズクラウド「Virtustream」を提供している。日本法人はなく、15年に伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)、17年にNTTコミュニケーションズとパートナー契約を結び、それぞれからVirtustreamを使ったサービスを提供している。

 Virtustreamの特徴は料金体系だ。他社は使った時間に対して課金を行うが、Virtustreamは使用したリソースに対して課金する。EMCジャパンの冨永健・Virtustream事業本部長は「従来のVMサイズによる従量課金モデルは、未使用領域を含むサイズでの支払いとなり、実際に使用しているリソースを把握するのも困難だった。μVM単位による実消費量での課金は、ワークロードを最適化でき、クラウドのコストを最大40%削減することができる」と話す。こうした差異化ポイントによって、販売は堅調に推移している。市場全体について、トッド・マクナブ トッド・シニアヴァイスプレジデント セールス担当は、「米国では13年頃から普及が始まっているが、日本はようやくスタートラインに立ったところ。全世界のエンタープライズクラウド市場は今後2~3年で400億ドルの規模に成長する。そのとき、3分の1を占めるのが日本を含むアジアだ。そのため、近年とくにアジアに注力している。今、アジアが熱い」と力説した。
 
左から
アジット・メラコーデ・アジア・パシフィック&ジャパン ヴァイスプレジデント
EMCジャパンの冨永健・Virtustream事業本部長
トッド・マクナブ・シニアヴァイスプレジデント セールス担当

 アジアの中心となるのが日本だ。日本ではクラウドの認知、利用率が高まっている。ただ、基幹系システムとなると、まだオンプレミス環境か、セキュリティの高いプライベート環境を選択する企業が多い。さらに昨年までは事業本部がなかったVirtustreamは認知度が低い。こうした課題に対してアジット・メラコーデ・アジア・パシフィック&ジャパン・ヴァイスプレジデントは「Virtustreamは顧客がプライベートクラウドに求めるハイグレードなセキュリティや、パブリッククラウドに求める拡張性、コストパフォーマンス、運用したいかたちで対応できる柔軟性を持ち合わせている」と話し、オンプレミスから、もしくはプライベートクラウドからのシフトを促していくという。

 具体的な展開では、デルグループの販売網を活用していく。冨永事業本部長は「Dell EMCはオンプレミスの顧客、またはプライベートクラウドの顧客にハードウェアを提供している。Dell EMCと一緒に動くことで、こうした顧客に提案できる」と話した。

 認知度の向上にも注力する。「日本に事業本部、リージョンを設立したことで、注目度が飛躍的に高まり、パートナーもより提案しやすくなった。さらに人員を加速度的に増強しており、人的リソースの投下は顧客に対して信頼感を与える。認知度を高めながら、日本市場にコミットしていく」と、冨永事業本部長は力強く語った。