NTTデータ(本間洋社長)は、自治体の業務効率化を支援する取り組みとして、AI(人工知能)技術を駆使した文字認識ソフト(AI-OCR)と、RPAを組み合わせたソリューションに注力している。業務自動化の大きな障壁となっている紙の書類や帳票類のデジタルデータ化により、「紙とデジタルが混在する環境でも業務自動化をシームレスに行える」(NTTデータの仁田光治・ソーシャルイノベーション事業部ソーシャルビジネス統括部長)ようにする。

 実用性を確かめるため、NTTデータは自治体の協力を得て検証作業を進めてきた。同社に賛同したのは、町田市や郡山市、市川市などの六つの自治体。日々の業務で見かける難読文字、くせ字を模して帳票を作成し、検証作業を進めた。
 
NTTデータ
仁田光治
統括部長

 1文字ずつの記入枠が設定されていない自由記述の認識率は、従来型のOCRでは30~40%だったところ、AI-OCRによって93.3%まで高めることができた。なお、AI-OCRのエンジンは、NTTデータと業務提携関係にあるAI insideの「DX Suite」を使っている。

 一般的に自治体は、件数の多い紙文書のデジタルデータ化の作業を外部の専門業者に業務委託していて、件数が多くない場合に職員が手で入力している。例えば、郡山市の保育所への入所申請は年間およそ1500件。新年度に向けて申請件数が集中する時期は「担当職員の負担が大きくなり、業務効率が落ちるという課題があった」(郡山市の松田信三・こども部こども育成課課長)。とはいえ、1500件では外部委託がコスト高になってしまう。そのため、手軽に利用できるAI-OCRとRPAへの期待は大きい。

 今回の実証実験では、紙の申請書を複合機で読み取り、パブリッククラウド上のAI-OCRで文字を認識し、RPAで業務システムに自動入力するという仕組みを採用した。職員は認識できなかった部分をチェックするだけで済むため、作業負荷が大幅に軽減された。
 
町田市
中田直樹
担当部長

 実証実験では、パブリッククラウド上のAI-OCRで処理をしたが、本番稼働に当たっては「自治体専用のセキュアなネットワーク『LGWAN』に直接つながったデータセンターでの運用が条件となる」(町田市の中田直樹・総務部情報システム担当部長)。そのため、NTTデータは、本格的な採用に向けてLGWANと接続したデータセンターでの運用を検討している。

 NTTデータは今回の自治体との検証を踏まえ、紙業務の自動化ビジネスとして他の業種への展開も検討していく。2020年度には国内外累計で200億円規模のビジネスにする考えだ。(安藤章司)