シスコシステムズ(デイヴ・ウェスト社長)は5月30日、「Wi-Fi 6」の名称で呼ばれる次世代の無線LAN規格、IEEE802.11ax(現在はドラフト版)に対応したアクセスポイントを発表した。新製品では、規格値で最大4.8Gbps(5GHz帯)、実効スループットでもギガビット級の高速通信が可能となるほか、多数の端末が高密度で存在する環境での安定性が向上する。ユーザー自身が管理を行う「Catalyst」と、クラウド管理型の「Meraki」の両ブランドにWi-Fi 6対応機種を投入する。すでに販売活動を開始している。

最大4.8GbpsのWi-Fi 6に対応する「Catalyst 9100」シリーズ

 Wi-Fi 6は標準化作業の最終段階に入っているが、正式な規格として成立するのは年末から来年前半となる予定。エンタープライズネットワーキング事業を統括する眞崎浩一執行役員は「本音としては、標準化が完了してから出したかった面もある」と話し、確実な接続性が重視される企業向けの機器では、規格成立を待って提供を開始するのがこれまでの定石だったと明かす。「対応端末がわずかなことから、RFP(提案依頼書)でWi-Fi 6が要件として求められるケースも、まだほとんどない」(眞崎執行役員)という。
 
眞崎浩一
執行役員

 それでも商品化を急いだのは、「企業のIT担当者からは、数年後も使い続けられる製品が求められている」のに加え、「『5Gが始まるが、Wi-Fiはどうなるのか』という問い合わせが増えている」(眞崎執行役員)からだ。

 来年春に国内でも5Gの商用サービスが開始され、現在のWi-Fiと同等かそれ以上の速度で通信が可能となる見込み。

 しかし、当面は屋内環境で5G網を安定的に利用するのは難しいと考えられるほか、トラフィックの可視化やポリシー管理といったエンタープライズに求められる要件を満たすには、企業が自社でネットワークを運用する必要があることから、シスコでは5GとWi-Fiの市場はすみ分けられると想定する。ネットワークアクセスが集中する始業時や、OSやアプリケーションのアップデート時期に、Wi-Fiの帯域不足で業務に支障が出るケースが増えつつあり、今後のWi-Fi機器更新案件ではほどなくWi-Fi 6対応製品が主流になるとみている。

 また、アクセスポイントの高速化で有線ネットワーク側がボトルネックになる恐れがあることから、コアスイッチでもより高性能な新製品「Catalyst 9600」シリーズを発売した。無線需要の高まりをカギに、企業ネットワーク全体の刷新を提案していく。(日高 彰)