キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ、坂田正弘社長)は4月1日にクラウド型メール情報漏えい対策サービス「GUARDIANWALL Mailセキュリティ・クラウド」をリリースする。マイクロソフトの「Office 365」やグーグルの「G Suite」のメール機能を補完することに特化した製品で、ここに開発リソースを集中投下して競争力を高め、メールフィルタリング市場におけるさらなるシェア拡大を目指す。
セキュリティソリューション企画本部の
荒木隆志氏(右)と山﨑歩氏
同社の国内メールフィルタリング市場におけるシェアは40%を超える(富士キメラ総研調べ)。セキュリティソリューション企画本部の荒木隆志氏は「メールフィルタリング市場は継続して拡大が見込まれるが、特にクラウドメールサービスの利用が伸びており、その代表的な製品であるOffice 365、G Suiteとの連携を強化したメールセキュリティサービスを提供することで市場シェアをさらに拡大したい」と、GUARDIANWALL Mailセキュリティ・クラウドの狙いを説明する。
メール環境のクラウド移行は加速傾向にあり、クラウドメールサービス市場では、グループウェアなどとのスイート製品であるOffice 365とG Suiteが依然として2強状態にある。富士キメラ総研の調査では両製品で市場の約80%のシェアを握るとしている。
キヤノンMJの商談においても、「9割方のお客様がどちらかの製品を選ぶ」(荒木氏)という状況だという。GUARDIANWALLシリーズには、従来もクラウドメールサービスに対応した製品はあったが、こうしたニーズに合わせてラインアップを整理・統合。Office 365、G Suiteに特化した製品ラインアップとして、GUARDIANWALL Mailセキュリティ・クラウドを市場投入する形だ。
同本部の山﨑歩氏は「Office 365、G Suiteは仕様変更もかなり頻繁にある。今回のラインアップの整理により、開発リソースをその対応にある程度集約できるようにした。クラウドサービスとして顧客満足度を高めるための継続的なアップデートがしやすくなる」と話す。
機能面では、従来のGUARDIANWALLシリーズ同様、フィルタリングやアーカイブの検索機能などで国産ベンダーならではの高度な日本語対応を差別化ポイントとして市場に訴求する。また、ユーザーが自らの環境に合わせて柔軟にルール設定や変更ができるような管理画面も提供し、多様な運用方法に対応するという。
GUARDIANWALL Mailセキュリティ・クラウドには、高度な機能まで自由に設計できる「プレミアム」と、設定・運用が容易な「ベーシック」の二つのラインアップを用意している。まずは4月に、セキュリティ重視の顧客向けにプレミアムをリリース。7月には利便性重視のユーザーをターゲットとするベーシックも発売する予定だ。従来、大手・中堅企業がメインターゲットだったが、「中小企業にも顧客基盤を拡大する契機にもしたい」(荒木氏)と意気込む。(本多和幸)