パーソルグループで情報サービスやICTアウトソーシング事業を手掛けるパーソルプロセス＆テクノロジー（パーソルP＆T、横道浩一社長）がRPAビジネスの拡大に注力している。今年2月に発表されたUiPathの「UiPath Partner Awards 2019」では、最も優れた販売実績を上げたパートナーに贈られる「Partner of the Year」と、新規顧客を最も多く獲得したパートナーに贈られる「Best New Customer Acquisition」を同時受賞。現在は大都市圏に顧客が偏在している状況だが、2020年はパーソルグループ全体の営業網を活用して地方都市にもカバレッジを広げ、さらなる成長を目指す方針だ。

　パーソルグループは、パーソルP＆Tを中心としてパーソルテンプスタッフ、パーソルテクノロジースタッフが連携して「パーソルのRPA」ブランドの下にRPA関連のサービスを提供している。パーソルP＆TでRPAビジネスの立ち上げ、成長をけん引してきたワークスイッチ事業部オートメーショングループの大塚啓史・マネジャーは、「導入支援からロボットの開発、研修、運用支援、定着支援まで一気通貫でサービス提供できるのが強み」と話す。RPAツール導入のためのコンサルやRPAツールのリセールはもちろんのこと、RPAを活用して業務の自動化・効率化を進める人材の派遣もセットで提供しているのが特徴。研修コンテンツの充実にも力を入れ、ユーザー企業の内製化推進も含めて「RPAを使える人材」を社内外で拡充することを目指しているという。

　パーソルのRPAでは「WinActor」や「BizRobo!」といったRPAツールもリセラーとして取り扱っており、それぞれの有力パートナーではあるが、UiPathのリセールパートナーとしての存在感は際立っている。UiPathパートナー営業本部の橘一徳・副本部長は同社について「名実ともにUiPathの日本におけるビジネス拡大をリードしてくれたパートナー」と評価する。

　UiPathは2月に組織を変更し、パートナーとの営業面での連携を強化する方針を打ち出している。ハイタッチ営業部隊を強化し、パートナーとの共同営業の機会を増やす。これにより「案件の勝率を高めたり、アップセルを促進していく」（橘副本部長）。さらに同社は今年2月、RPAが有効な業務を発見するためのツールや、RPAの稼働状況、導入効果を可視化する仕組みの提供も始めている。橘副本部長は、「ロボットの開発、実行、管理だけでなく、その周辺にソリューションが広がるにつれ、一気通貫のRPAサービスを提供しているパーソルP＆Tのようなパートナーが発揮してくれる価値は大きくなる」と期待を寄せる。パーソルP＆Tの大塚マネジャーも、UiPathと戦略の方向性が一致していることに手応えを感じているという。

　パーソルP＆TはもともとUiPathのユーザーでもあり、ユーザーとしてのノウハウの蓄積が外販ビジネスの推進力になった側面もある。20年は、パーソルグループ全体に「広く自社グループ内でのRPA活用を浸透させていく」（大塚マネジャー）方針だ。例えばRPAのユーザーとしての体験を持つ営業スタッフをグループ内に増やすことで、地方の営業拠点でもパーソルのRPAの顧客開拓が加速できると見込む。大塚マネジャーは「現在は首都圏や主要都市の顧客がほとんどだが、生産性向上や働き方の転換を進め、より地域的にカバレッジを広げて提供していきたい」としている。（本多和幸）