ロジクールと日本マイクロソフトが、会議室向けソリューションの販売・マーケティングで連携を強化している。日本では約1年前から本格的に協業を開始し、ロジクールのデバイスと日本マイクロソフトのコラボレーションツール「Microsoft Teams」を組み合わせたソリューションの提案を推進、大企業を中心にテレワーク需要の取り込みを進めている。(齋藤秀平)
ロジクール 野村宜伸 執行役員
ロジクールはこれまで、カメラやヘッドセットなどの個人向けデバイスを販売しており、会議室向けのデバイスを手掛け始めたのはここ数年のことだ。野村宜伸・執行役員法人事業本部長は「会議室向けの市場では、会議システム専業のメーカーと戦ってきたが、今はPCツールが広がり、モバイル端末も入ってきている」と市場の変化を説明する。
専用の会議システムではなく、PCに接続するUSBデバイスでビジネスを進めていたところ、大企業向けの市場でTeamsが台頭。野村執行役員は、さらなる成長を目指す上で「マイクロソフトと協力したほうがいいというのは自然な発想だった」と振り返る。
両社は現在、ソリューション展開に加え、案件の共有やマーケティングの共同実施でも協力している。ロジクールのビデオコラボレーションビジネスの売り上げは前年比3倍で推移し、中でも大企業向けはマイクロソフトとの協業が大きくけん引しているといい、野村執行役員は「今までリーチできなかったところにもリーチできるようになり、販路の幅が広がった」と話す。
ただ、売り方は大きく変わった。野村執行役員は「USBデバイスの場合、顧客からの求めに応じてデバイスだけを提供する形で営業をしていた。しかし、現在はソリューションとして提供しているため、デバイスとTeamsの両方についてしっかりと理解し、導入することでどのような効果があるかといったことを顧客に説明する必要がある」と解説する。
ソリューションを拡販していく上で、パートナーの提案力や実行力が重要になる中、ロジクールは昨年10月、エンタープライズ向けビデオコラボレーション製品の販売代理店を対象とした認定パートナープログラム「Logicool One」を開始。同月時点で、SBテクノロジー、NECネッツエスアイ、大塚商会、協和エクシオ、ジャパンメディアシステム、日本ビジネスシステムズ、リコージャパンの7社経由でソリューションの提供を進めている。
野村執行役員は「国内の会議室は100万室ほどあり、われわれの換算では、まだ約9割がホワイトスペースになっている。全ての会議室にデバイスを導入することをミッションとしているが、飽和している領域ではないので、今後、かなりの伸びが期待できる」とみる。
一方、日本マイクロソフトの山崎善寛・Microsoft 365ビジネス本部本部長は「ビデオ会議では、高品質なデバイスは必ず要る。ロジクールは個人向けのヘッドセットから会議室向けのデバイスまでを網羅しており、われわれにとっては非常に力強い」とし、「大企業では、Teamsのライセンスはかなり導入されているので、会議の質を向上させることに取り組む。中小企業は、リモートワークの環境のホワイトスペースが多いので、われわれのクラウドを導入して市場を開拓したり、一緒に提案をしたりしながら顧客の獲得を目指す」と語る。
日本マイクロソフト 山崎善寛 本部長
さらに「コロナ禍が収束したとしても、よりよい働き方の選択肢を持てるように、ITを活用して会議の在り方を変えていく。そのための一歩として、デバイスとクラウドサービスを一緒に提供することで、顧客の働き方改革を進めてビジネスを伸ばしてもらい、将来、日本の企業が世界でもっと戦っていけるようなお手伝いをしていきたい」と意気込む。