日商エレクトロニクス(日商エレ)は、ネット通販などの不正利用を検知するデータ分析サービス「Tranfis(トランフィス)」の中核技術の一つとして、ポーランドのネットホンが開発した「行動的生体AI認証」技術を採用した。同技術によって不正検知の精度を一段と高める。この4月から始まった3カ年中期経営計画の最終年度に当たる2024年3月期までに、Tranfis関連サービス全体で年商10億円規模のビジネスに育てていく。

右から日商エレクトロニクスの前野孝文課長、
池上啓司部長、ムラカル・カヤ氏、上野貴寿氏

 Tranfisでは、ネット通販やオンライン決済などを手がける企業ごとに日商エレの専門家がデータ分析し、最も費用対効果の高い不正検知のルールを導き出す。ただ、不正検知のルールは永続的ではなく、「不正利用者は試行錯誤の末にルールを見抜いてくるため、先回りして防御する必要がある」(日商エレの池上啓司・DX事業本部第一事業部部長)ことから、国内で最も早くネットホンの技術の採用を決めた。

 ネットホンの行動的生体AI認証技術は、ユーザーのキーボードやマウス操作の癖、ネットワーク経路、端末情報など5000点を超えるデータ取得ポイントから得るデータを機械学習で総合的に分析し、正規ユーザーかどうかを判別。「常に新しい不正パターンを、不正利用者に後れを取ることなく把握できる」(ネットホンのヒューバート・ラフワルスキCEO)リアルタイム性に優れた特徴を持つ。
 
ネットホン ヒューバート・ラフワルスキCEO

 日商エレでは、ユーザー企業の業種、業態、不正利用の傾向などに応じて、「当社データ分析の専門家がネットホンのエンジンにチューニングを加えることで性能をフルに引き出せるようにする」(前野孝文・第一事業部第一事業推進チーム課長)と、ネットホンの技術に精通したエンジニアを抱えていることを強みにしていく。

 不正利用は国境を越えて世界規模で行われるが、詳細に見ていくと地域や業種ごとに細かな違いがあり、「地域や顧客の傾向に精通したビジネスパートナーによるチューニングが欠かせない」(ネットホンのパトリック・ニッケル・ドレックスラ日本市場責任者)と、不正検知に関わるデータ分析の専門家を多数擁する日商エレと組むことの重要性を強調する。
 
ネットホン パトリック・ニッケル・ドレックスラ 日本市場責任者

 日商エレでは、従来から手がけていた不正検知の技術を体系化し、成長事業に育て上げていく一環として20年8月に「Tranfis」のサービスブランドを立ち上げた。今回のネットホンとの協業によって「顧客開拓を加速させていく」と、第一事業推進チームのムラカル・カヤ氏は話す。また、現時点では不正利用の検知に焦点を当てているが、エンドユーザーの振るまいに関するデータの分析を通じて、「ネット通販や決済事業者の売り上げや利益に直結するサービス開発も検討している」(同チームの上野貴寿氏)と、サービス内容の幅を広げることでビジネスを伸ばす。(安藤章司)