アマゾンウェブサービスジャパン(AWSジャパン)が、クラウド移行関連サービスの強化を進めている。6月10日に開いた説明会では、今年2月から5月までの間でリリースした主な新サービスを紹介した。コストの削減と時代変化への適応を目的に大規模なクラウド化に取り組む顧客が増えているといい、新サービスを軸に需要の掘り起こしをさらに進める方針だ。

瀧澤与一 本部長

 同社の瀧澤与一・技術統括本部レディネスソリューション本部本部長/プリンシパルソリューションアーキテクトは、国内数十万の顧客の動向として「単一のシステムをクラウドに移行するだけではなく、複数のシステムを数年間にわたって大規模に移行するお客様が増えてきている」と述べた。

 クラウド移行の動機については「アウトソーシング先の変更やハードウェアのリプレース、データセンターの統合、機械学習の活用、デジタルトランスフォーメーション、運用自動化などがある」と解説し、とくに「全体のITのコストを削減し、その上でシステムを新しい時代の変化に合わせることを目的にマイグレーションに取り組むお客様が多い」と語った。

 その上で、4月に発表した移行計画立案の支援を拡充した包括的プログラム「ITトランスフォーメーションパッケージ」を示しながら、「お客様が大規模に移行する場合、最初に既存システムを評価し、その内容を基に移行計画を立案し、実際に移行していくという流れになっている」とし、主に移行に役立つ五つのサービスの特徴などを説いた。

 まず取り上げたのは、5月に提供を開始した「AWS Application Migration Service (AWS MGN)」だ。瀧澤本部長は「数百台、場合によっては数千台という大量のサーバー群を移行しようとすると、ドライバーやOSのバージョンを考慮しなければならず、それに加えてレガシーなアプリケーションが移行できるかを検討する必要もある。ほかにも、複雑な障害への対応や専門的なITスキルの必要性など、さまざまな課題がある」との見解を示し、「オンプレミスの環境からAWSに移行していく際、このような課題を解決するためには自動化が大事で、それをカバーするのがAWS MGNだ」と話した。

 次に5月にリリースしたISV向けソリューション「AWS SaaS Boost」について「SaaS型サービスへの移行に役立つオープンソースのリファレンス環境をISVに提供する」と説明。すぐに利用可能でSaaSに欠かせないコンポーネントと、開発と実験のサイクルを短縮するのに役立つガイダンスによって開発と運用を簡素化できるほか、開発チームを顧客のイノベーションと俊敏性を最大化するコアバリューの仕事に注力させることも可能になるとした。

 瀧澤本部長はこのほか、独自開発したプロセッサー「Amazon Graviton2」(2月に提供)やアプリケーションの可用性向上を手助けする機械学習をベースとした運用者向けサービス「Amazon DevOps Guru」(5月に提供)、AWS ワークロードで障害挿入実験ができるマネージド型サービス「AWS Fault Injection Simulator(AWS FIS) 」(3月に提供)についても概要や特徴を説明した。(齋藤秀平)