ダークトレース・ジャパン(ダークトレース)、ジェイズ・コミュニケーション(ジェイズ)、S&Jは7月7日、3社の協業で「Darktrace アラート分析・監視サービス」を発売した。ダークトレースのNDR(Network Detection and Response)製品「Enterprise Immune System」の設置から運用までをパッケージサービスとして提供する。セキュリティ技術者を社内に抱えられない企業でも導入可能で、容易にネットワークのセキュリティ強化を図ることができるメリットを市場に訴求していく。
ダークトレース・ジャパン 鈴木 真 カントリーマネージャー
Enterprise Immune Systemは企業内の通信パケットや「Microsoft 365」「Google Workspace」などクラウドサービスとの通信などのネットワーク状況を可視化し、AIが傾向を学習。外部からの攻撃や内部の不正行為の兆候といった通常時と異なる通信を検知・遮断する。Darktrace アラート分析・監視サービスでは、ジェイズが顧客のシステムにEnterprise Immune Systemの設置を行い、S&Jが運用・監視を24時間365日で実施する。
新サービス立ち上げの背景には「Enterprise Immune Systemが脅威を発見したが対処の仕方が分からない、対応が必要なのか判断できない」「運用まで提供してほしい」といった声がユーザーから上がっていたという事情がある。ダークトレースの鈴木真・カントリーマネージャーは「中堅・中小の企業では、専任者を確保することが難しい。運用までをパッケージ化することでセキュリティ専任者を雇うのと同じ効果を発揮できる」と話し、ユーザーの課題解決に貢献できることをアピールした。
ジェイズ・コミュニケーション 太田博士 部長
販売元はジェイズで、一次代理店としてパートナー販売の窓口も担う。同社では、2017年からダークトレースの製品を扱っており、そのノウハウをセミナーで提供するなどしてパートナーを支援する。加えて、「パートナー販売だけではなく、当社が先頭に立って積極的に営業を行い、顧客基盤拡大に努める」と同社マーケティング戦略本部の太田博士・部長は意気込みを語った。なお、パートナーが販売した際の設置もジェイズが行う。
近年では、ネットワークに侵入して、システムを横断的に動き攻撃するラテラルムーブメントなどが増加している。「Enterprise Immune Systemを活用しネットワークを俯瞰的に見ることで、そういった攻撃に対処できる」とS&Jの三輪信雄社長は説明。「SIEMと共通する部分もあるが、SIEMの場合、社内のさまざまな機器や端末からログを収集して分析しなければならず手間が掛かる。加えて、コストも高い」とし、「SIEMの導入はハードルが高いと感じる中堅・中小企業でもサービス導入が進むはずだ」としている。
S&J 三輪信雄 社長
価格は年額1095万6000円(500デバイス)から。3年間で30社への導入を目指す。鈴木カントリーマネージャーは「セキュリティ専任者1人の人件費と同等の価格に設定したことで、中堅企業でも手が届く」として、価格競争力にも自信を見せる。(岩田晃久)