SaaS型業務アプリケーションを提供するゾーホージャパンは、官公庁や金融業など大規模ユーザーの開拓を本格化させる。この9月に東京と大阪に自社運営のデータセンターを開設し、「国内でのデータ保管の要望が根強い大規模ユーザーのニーズに応える」(大山一弘副社長)環境が整う。国内ではこれまで、中堅・中小企業ユーザーを主な顧客として、CRM(顧客情報管理・営業支援システム)関連製品の販売で成長してきた。今後はこの市場セグメントを引き続き伸ばしつつ、手薄だった大規模ユーザー市場への進出を本格化することで、売上高を年率30%以上引き上げる。(安藤章司)
大山一弘 副社長
インドに本社を置くゾーホーの日本法人であるゾーホージャパンは、今年で設立20年目を迎えた。中堅・中小企業向けに提供しているSaaS型のCRMがヒット商材となり、富士フイルムビジネスイノベーションや船井総合研究所をはじめとする中堅・中小企業ユーザー市場で強力な営業力を持つビジネスパートナーが販路を支える。直近では約40社のビジネスパートナー経由での販売が全体の半分を占める。コロナ禍でSaaS型アプリの利用が増えたが、メジャーなSaaSアプリと連携可能なSaaSアプリとしてゾーホーのCRMなどが売れる好循環も生まれた。
ただ、早いタイミングでデータセンター(DC)を開設したインド本国や欧米市場では「中小企業から大規模ユーザーまでバランスよく獲得できている」(大山副社長)のに対して、国内では中堅・中小企業ユーザーの獲得が先行していた。とりわけデータを国内で保管したいとのニーズが根強い官公庁や自治体、金融業の顧客を開拓するには「DC開設が不可欠」(同)と判断し、2年がかりでDC開設の準備をしてきた。9月中に開業予定の東京と大阪のDCは、ゾーホーグループ全体で11、12番目となる。
DC開設によって大規模ユーザー開拓の事実上のスタート地点に立ったゾーホージャパンは、まずはビジネスパートナーの拡充に力を入れる。これまでは中堅・中小企業ユーザーに強いビジネスパートナーが多かったが、大山副社長は「大規模ユーザーに強い大手SIerなどとも連携を深めていきたい」と、同市場で販売力のあるパートナーとの関係構築に力を入れる。
グローバル市場でのゾーホーは、財務会計や人事管理といった基幹系アプリから情報共有、IT資産管理、デジタルマーケティングまで総合業務アプリベンダーとしてプレゼンスを高めている。直近5年間における売り上げの年平均成長率は30%を維持。全世界のユーザー数は6200万人を超える。国内でも中堅・中小企業ユーザーを主力としたSaaS型アプリの販売でグローバルと同水準の高い伸びを堅持しているが、この勢いを維持していくためには、大規模ユーザーの獲得が必要だとゾーホージャパンは見ている。
今年創業25周年となるインド本社では、向こう3年で現在の約5倍に相当する全世界100拠点の開設を計画。国内では大阪や福岡などの拠点開設を視野に入れている。東阪DCの開設や幅広い品揃え、手順書なしでも直感的に使える使い勝手のよさ、主要アプリを全て使える割安感あるサービスメニュー「Zoho One」を差別化要素として、国内においても中小から大規模ユーザーまでバランスよくビジネスを伸ばしたい意向だ。