グローバルセキュリティエキスパート(GSX)は、従業員5000人未満の企業をターゲットに営業活動を強化している。青柳史郎社長は「中堅中小企業向けセキュリティ市場は2兆円超の巨大な市場だと試算している。そこに特化することで他のセキュリティベンダーとの差別化を図る」と説明する。2021年12月に東証マザーズに上場を果たすなど、業績も好調に推移しており、22年3月期第3四半期の売上高は前年同期比53.1%増の31億1600万円、営業利益は73.7%増の3億4400万円、純利益が67.6%増の2億900万円となった。
青柳史郎 社長
同社では、標的型メール訓練サービスなどを提供する教育事業、セキュリティ製品の導入・運用を支援するセキュリティソリューション事業、ITインフラ構築を行うITソリューション事業、コンサルティング事業の四つを展開している。青柳社長は「サプライチェーン攻撃の増加やDX推進といったことを背景に中堅中小企業のセキュリティ需要が拡大している。当社はワンストップで(中堅中小企業に)必要なセキュリティ対策を提供できることが強みのため、クロスセル・アップセルを強化していく」と話す。
特に教育事業は同社の特徴の一つ。「トラップメール(GSX標的型メール訓練サービス)」は、実際に行われている攻撃を模擬したメールを送信することで従業員のセキュリティ意識の向上を図ることができるサービスで、これまでに約7500社に利用されているという。加えて、セキュリティ教育講座「SecuriST(セキュリスト)シリーズ」では、脆弱性診断やWebアプリケーションをセキュアに構築するための技術を学ぶことが可能だ。青柳社長は「当社は『サイバーセキュリティ教育カンパニー』として事業を展開している。セキュリティ教育を通じて全国の企業の自衛力を向上させたい」と目標を語る。
最近は、パートナー企業がGSXの教育サービスを受講し、そこで得た知見を活用してGSXの商材をエンドユーザーに提案するケースが増加。高い成果が出ていることから、今後も教育を通じたパートナー支援を強化することで、販路を拡大させる考えだ。
また、セミナーによる啓蒙活動やタレントを活用したサービスブランディング、SNSでの情報発信などマーケティング活動を積極的に展開し、認知度の向上を図る。
青柳社長は「上場したことで問い合わせや求人への応募が急増するなど良い流れができている。今後も教育事業をはじめ当社の強みを生かし売上拡大を図る」と抱負を述べた。
(岩田晃久)