RealWear Japanが提供する産業用ヘッドマウントデバイスの販売台数が好調に伸びている。2022年に入り自治体向けのニーズが拡大しており、年間では前年比約1.5倍となる3000台に達する見込みという。国土交通省は、22年度にもウェアラブルデバイスなどを活用して現場を確認する「遠隔臨場」を原則的に全ての直轄事業で利用可能とする方針を掲げており、今後も需要は堅調に推移しそうだ。
RealWear Navigator 500
米リアルウェアは、Android OSとスマートグラスを組み合わせたハンズフリーのヘッドマウントデバイスを産業向けに特化して提供している。日本市場には18年に参入し、21年3月に日本法人を設立した。
製品はテレビ会議ソフトウェアを使って現場の状況を確認・指示出しを行う遠隔作業支援が主な用途で、水道や電気、ガス、通信といったインフラをはじめ、運輸、建設、土木などの現場作業の職種で利用が広がっている。
伊藤 信 社長
日本法人の伊藤信社長は近年の需要動向について、20年から拡大基調にあると説明。「新型コロナ禍を受け、工場や工事などの現場では、密にならないように少しでも人手を減らす傾向が出てきた」と話し、作業員同士が遠隔でコミュニケーションがとれることから、コロナ禍に対応するデバイスとしてユーザー企業からの評価が高まっていると強調する。
国土交通省など、さまざまな官公庁が遠隔臨場においてウェアラブルデバイスを活用している。伊藤社長は、最近では道路やトンネル、橋などの補修工事を中心に自治体案件が多くなっているとし「自治体案件は、通常と比べて10倍以上の受注台数になる可能性が高く、大型案件につながる」と期待を込める。(佐相彰彦)