キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)は5月11日、法人向けエンドポイントセキュリティ「ESET PROTECTソリューション」から「ESET PROTECT MDR」を8月下旬に発売すると発表した。新機能のXDR(Extended Detection and Response)「ESET Inspect Cloud」やエンドポイント保護(EPP)、ESET Inspect Cloudの運用支援を行う「セキュリティサービス」などをパッケージ化して提供する。従業員数1000人以上の企業をメインターゲットに製品提供から運用までトータルで支援できる点を訴求していく。
(岩田晃久)
イーセット ユーライ・マルホ CTO
記者会見ではスロバキアのイーセット(ESET)のユーライ・マルホ・CTOがXDRについて解説。異なるセキュリティ製品やセキュリティ階層で収集した、データを統合して分析し脅威の早期発見と対応を行うXDRは、強力なセキュリティ対策だと強調した。一方で、ツールの複雑さや、大量に上がるアラートへの対応疲れ、適切な技術や資格を持つ人材の不足、といった課題があると指摘した。
同社が実施した調査では、「サポートやインシデント対応をベンダーが提供するのを望んでいる」企業が75%、「ベンダーが提供する監視・脅威ハンティングサービスにインシデントへの対応と修復が含まれることを期待している」企業は90%を占めたと紹介。マルホCTOは「ESET PROTECT MDRでは、専門知識を持つ当社のスタッフがXDRを監視するため、こういった課題やニーズに対応できる」と話した。
ESET PROTECT MDRは、EPP、クラウドサンドボックス、フルディスク暗号化、ESET Inspect Cloudによるエンドポイントセキュリティ対策とキヤノンMJ、イーセットのセキュリティエンジニアがESET Inspect Cloudの運用支援を行うセキュリティサービスで構成する。
キヤノンMJ 輿水直貴 部長
キヤノンMJのセキュリティソリューション企画本部セキュリティソリューション企画部の輿水直貴・部長は「予防・検知・対応からその運用まで単一ベンダーで提供するのが特徴だ。(単一ベンダーで提供することで)高い防御力の実現とインシデントへの迅速な対応が可能となるのに加えて、コスト削減にもつながる」と強調した。
ESET PROTECT MDRの中核となるESET Inspect Cloudについて輿水部長は「これまで提供してきたEDR製品の『ESET Inspect』はオンプレベースだったが、お客様からの声を受けてクラウドサービスとして提供する」と説明した。PCやメールに加えてサーバーなどもデータ収集の対象とすることで幅広い検知が可能となるとしている。
セキュリティサービスは、ESET Inspect Cloudの導入や初期チューニング、脅威モニタリングを行う「MDRサービス」と24時間365日の日本語テクニカルサポートなどを提供する「プレミアムサポートサービス」の二つを展開する。問い合わせ窓口はキヤノンMJ、脅威分析はイーセットが担う。
8月下旬からの提供を予定しており、最小構成は500ライセンスからで価格は個別見積もり。ESET PROTECT MDRからセキュリティサービスを除きツールのみの提供となる「ESET PROTECT Enterprise」は5月30日から販売を開始する。最小100ライセンスから利用が可能で、価格は1ライセンス6500円(税別)からとなっている。
今後は既存ユーザーへの提案を進め、その後、新規開拓にも注力していくという。輿水部長は「オールインワンのセキュリティ製品のため、パートナーがお客様に提案しやすい商材だ」と話した。
キヤノンMJは「ESET PROTECTソリューション」を中核に、エンドポイントセキュリティ事業を引き続き強化していく方針。サービスラインアップの拡充などに取り組み、2025年にセキュリティ売上高を485億円まで伸ばす目標を掲げている。