労働力人口(15歳以上で、就業者と完全失業者を合わせた「労働する能力と意思をもつ者の合計数」)が減少し、働く人の年齢構成が変わってきている。総務省が2022年2月に発表した「労働力調査(基本集計)2021年(令和3年)平均結果の要約」によると21年平均の就業者数は6667万人と,前年に比べ9万人減少と2年連続の減少している。
労働力調査(基本集計)2021年(令和3年)平均結果の要約
(出典:総務省)
デジタル化の推進を急がなければならない日本
その内訳は男性が3687万人と22万人の減少、女性は2980万人と12万人の増加。15~64歳の就業者数は5755万人と16万人減少しているにも関わらず、65歳以上の就業者数は912万人と6万人の増加になっている。これは働く若い人が減っており、女性が職場復帰し、年配者が頑張って働き続けていることを表しており、この先も少ない人数で高齢者を支えていくことには変わらないであろう。
課題を解決するには、海外から日本に働く人を呼び込むか、少ない人数で対応できるように効率を上げるかの二択しかない。つまり、1人が今までよりも2人分・3人分の成果が出せるように、デジタル化の推進を急がなければならない状況である。
社会問題を解決するために今こそソリューションベンダーへ変化せよ
上司にいわれたことだけを行っている社員の将来が明るくないように、中小企業・小規模事業者から依頼されたことだけを開発し、提供するだけのITベンダーはもう卒業しなければならない。昭和の時代では、顧客が望むものを作っていれば売れる時代だったが、モノも情報もあふれている現在の「複雑な社会」には、選択肢が無数にあり、買う方も売る方も何が自分にとって良いものか、何に困っているのか、が分からなくなってきているのではないか。
今こそ広く浅いやりとりでコトを終らせるのではなく、地域に根付く医者のように中小企業・小規模事業者に寄り添い、課題解決型のソリューションベンダーへ変化すべき時であろう。そのためには、古き良き時代の仕組みを現代版で復活させることができれば勝機が見えてくる。
地域活性化型のプラットフォームが中小企業・小規模事業者のDXの始まり
古き良き時代の仕組みとは何だろうか。現代が希薄になったものの裏返しでみえてくるのだが、「おせっかいなコミュニケーション」が一つの鍵になるだろう。
隣近所の家族構成まで知っている世界では、声を掛け合って一致団結し、その輪が広がって地域を活性化していく取り組みがみられたが、最近はどうだろうか。そこが良いか悪いかではなく、「自分が持っていないものは隣に気軽に借りに行く」くらいの「声を掛け合う姿勢」「自分だけではなく仲間とともに地域活性化していく姿勢」があると全体的なボトムアップにつながり、SDGsで掲げている「誰一人として取り残さないグローバル社会」をICTでも実現できるのではないか。
中小企業・小規模事業者にDXを推進するITツールをもっと身近に感じてもらうためにはどうしたらいいのか。という議論がこれまで以上に必要であり、商工会議所や銀行といった中小企業・小規模事業者の経営に伴奏できる事業所との連携がますます求められていくであろう。
■執筆者プロフィール

川崎 洋(カワサキ ヒロシ)
ベストプランナー 代表社員 ITコーディネータ
1997年から通信業界に携わり、営業、管理職、経営管理業務で海外出向とジャスダック上場の経験を経て10年に起業。16年に業界初の着信課金システムでビジネスモデル特許を認定。自社で導入していたテレワーク実践が厚生労働大臣から認められ、コロナ渦中に「特別奨励賞」を授与。中小企業のIT参謀として、ITのツールや通信機器を提供。