「修理を受け身でやっていては、顧客も、自分たちも満足しない」と、サービスを商品にする業態を考えた。製品を売ることがメインの表舞台とすれば、修理などのサービスは縁の下の力持ち的な存在になっているが、「私たちはそのモチベーションを変えて、修理というソフトを商品として売る」というコンセプトを打ち出した。
ミスター・コンセントは、販売店の一角にある修理コーナーではなく、またメーカーの修理部門でもない。製品を売っているショップやメーカーではないため、顧客は、「気軽に相談できる」環境だという。
料金体系についても、部品と工賃に利益を乗せるという発想ではなく、「いくらだったら直してくれるか」を中心にして、早くからPOSを導入するなどシステム化することで価格の透明性を図った。
現在、全国に66店舗出店し、白物家電やパソコン、デジタル家電などメーカーを問わず幅広い修理に対応している。そのなかでも「パソコンは、“修理ソフト”を売るには適した商材」だという。壊れたものを直すことに加え、アップグレードや操作のサポートなど新たな付加価値を与えることも。修理を含めて、お客さんが“困ったこと”を解決できるサービスを提供していく。
今後は、ウェブサイトの修理窓口「サイバーコンセント」のユーザーをリアル店舗に誘導する仕組み作りや、地域の電気店との連携などによる事業展開を強化していくのだという。製品はデジタルに変わっていくが、「われわれの商いはアナログ」で、フェースツーフェースにビジネスチャンスがあると確信している。
プロフィール
丹尾 泉
(にお いずみ)1950年、福井県出身。74年、明治学院大学卒業。同年、北陸ソニー販売入社。87年、3Qグループ入社。94年、3Qグループの修理専門店ミスター・コンセントを設立し、代表取締役社長に就任。