約400人の社員のなかで、誰よりも会社が好きだそうだ。初期メンバーの一人としてポータルサイト「goo(グー)」を立ち上げ、自分が会社を作ってきたという想いが根底にある。だから「社員には自分の会社を好きになってもらいたい」と常に考えてきた。
人事部門に異動した立石祐子は、その考えを実行に移す。それが、社員の家族を職場に招待する「オープンハウス」だった。幼稚園児から小学校低学年までの子供をもつ社員から希望者を募り、親の職場を見学してもらう社内イベントだ。
「オープンハウス」は、夏休みと冬休みに開催。ガイド役の社員が子供をクイズなどで楽しませながら職場を案内する一方、親には上司が日頃の仕事ぶりに対して感謝状を授与。参加した社員と家族を徹底的に〝おもてなし〟する。
「会社から社員に感謝の気持ちを直接伝える」──それが立石の狙いだ。イベントを通じて、社員はもちろん家族にも会社を好きになってほしいと願っている。今年で9回目を迎える。
同じ想いから、入社1~2年の若手社員に向けた「M&E(マーケティング&エンジニア)道場」も立ち上げた。ここでは先輩社員が指導役となって、サービスのあり方や運営などをひと通り学ばせる。「早く一人立ちさせることを目的としているが、業務を体験することで会社と仕事を好きになってもらう場にしたい」と立石は話す。
人事部門に異動する前には、gooのインターネット広告営業も経験。広告の売り込みを通じてビジネスの泥臭さを学んだ。複数の部署と係わることから、会社全体を俯瞰する目も養った。その経験を生かし、人事担当に就いてからは部門間の橋渡し役にもなった。「営業時代にいろいろな部門を回ったことが、今の自分にプラスになっている」と振り返る。
今、立石が始めようとしているのが「つなぐこと」。社内には、仕事に悩みを持つ後輩の女性社員が少なくない。自分の思いや仕事で得た経験を伝えていくことで、彼女たちにいつまでも生き生きと仕事してもらいたいと強く願っている。(文中敬称略)
プロフィール
立石 祐子
(たていし ゆうこ) 東京都新宿区生まれ。96年神戸大学経済学部卒業、同年、日本電信電話(NTT)入社、99年NTT-X goo編成本部、04年NTTレゾナント ポータル事業本部広告営業部、06年企画部企画部門人事育成担当などを経て、09年7月からは人事と現場をつなぐマネジメント支援業務に携わる。