「バランスがよく取れていて、賢いタイプ。話に無駄がない」。本人にインタビューすると、上司のこんなほめ言葉がしっくりくる。
今福浩は、インフォコムでERP(統合基幹業務システム)「GRANDIT」の販売を手がける営業マンだ。クラウドサービス型での提供を企画し、2010年5月、日本ユニシスとの協業を通して「GRANDIT for Cloud」の商用化にこぎ着けた。
企画した当初は、「価格競争に巻き込まれる」とか、「そもそも顧客ニーズがない」といった周囲からの反対意見にぶつかった。だが、負けず嫌いと自負する今福は、実行せずに諦めてしまうことを受け入れられなかった。「GRANDIT」事業の成長戦略には、新しいビジネスモデルの創出が不可欠と確信していたからだ。およそ1年がかりで企画を練り直し、事業計画を経営陣に説明。クラウドサービスの商用化を受け入れてもらった。
大学では情報科学を専攻。ただし、「細かい作業は性格上向いていないので、顧客と向かい合う営業職を希望した」そうだ。同じ年代の新入社員で、営業職を希望するのは今福だけだった。入社から5年ほどは、大手リース会社の専属営業を担当。「よく叱られたけれど、かわいがっていただいた」。
「GRANDIT」のユーザー企業は、500社を超えている。クラウドサービスは3年間で50社、10億円のビジネスに成長させるのが目標だ。「正直、まだ未知数」と明かすが、すでに30社ほどの引き合いがある。「企業は想像以上にクラウドに興味をもっている。今期は実績を上げていきたい」と意気込む。ゆくゆくは、パートナーを経由するチャネルの拡大に着手すべく、考えをめぐらせている。(文中敬称略)
プロフィール
今福 浩
(いまふく ひろし)1972年3月29日、山梨県生まれ。1995年3月、明治大学理工学部情報科学科を卒業。同年4月、帝人システムテクノロジー(現・インフォコム)入社。DWHやCRMソフトウェアの販売に従事。2006年から完全web-ERP「GRANDIT」の企画・販売を担当。クラウド環境で稼動する「GRANDIT for Cloud」事業を推進している。