今年の夏、中村健が率いるチームがインドネシアで立ち上げたクラウドサービス「Cloud Berkembang(クラウド・ブルクンバン)」は、金融サービス系のユーザーを獲得したのをきっかけに、「30件あまりの商談が進行中」というヒット商材に育ちつつある。「Cloud Berkembang」は、ITホールディングスグループのTISが独自に開発した主力のクラウドサービスだ。
「もともとチームをまとめる役割を担うのが好き。どんな商談でも自分たちのチームが一番乗りしたい」と、中村はいつも考えてきた。今回のインドネシアのクラウドサービスでは、社内のどのチームよりも先にTISの旗を立てられたのは幸運であって、名誉だと捉えている。これからは「Cloud Berkembang」の地場でのビジネス拡大は当然のこととして、グループの後続事業部門に向けての支援や、アジア地域へのより一段の浸透に取り組む。
日本のITサービスの強みは品質の高さだが、それだけでは競争に勝てない。中村は「品質、地域密着、規模感」の三つをキーワードとして挙げる。品質はよくてあたりまえ。これに地場のニーズに合致したサービス内容を付加して、一定規模以上のシェアを獲る。どの国も米国IT産業のような突出した発展をしているわけではなく、日本も含めて発展のレベルはそれぞれ違う。このレベル感に合わせていくことによって、「アジア地域市場に受け入れられるサービスをつくっていく」。
「インドネシアの次はどの国や地域になるのかはまだわからないが、どこへ行くことになっても自分たちのチームが一番乗りして商談をまとめてみせる」と、率先して先頭に立つ姿勢で仕事に臨んでいる。(文中敬称略)
プロフィール
中村 健
中村 健(なかむら けん)
1979年、広島県生まれ。02年、早稲田大学教育学部卒業。同年、TIS入社。ITインフラ分野のプロジェクトマネージャーなどを経験。12年からIT基盤サービス本部のグローバル事業責任者としてインドネシアでのTIS独自クラウドサービス「Cloud Berkembang」の立ち上げを担当する。