福島県の郡山市役所がブイキューブのウェブ会議を使っている。この案件をリードして、商談過程の途中に提案の切り口を大胆に変えることで受注に結びつけたのは、吉山啓輔だ。なんと、まだ入社2年目の新人営業担当者だ。吉山の好きな言葉は「守破離」。日頃の営業活動でそれを実現している。
2013年5月のIT展示会。1か月前に新卒でブイキューブに入った吉山は、ブース担当として名刺交換にいそしんだ。この機会に郡山市役所の関係者と出会った。帰社して先輩に相談し、アドバイス通り、ウェブ会議システムを「業務効率化」を図るツールとして提案。ところが、数週間後、郡山市役所からの連絡が入らなくなった。どうも提案が響かなかったようだ。
大学時代、岩手県の被災地でボランティアとして瓦礫撤去に携わったとき、吉山は肌で感じた。たとえ道路が寸断されても、人と人をつなぐツールがいかに大切かということを。「よし! 提案の切り口を業務効率化からBCP(事業継続計画)に変えよう」。郡山市役所に再度アプローチし、今度は、震災で電話の回線が切れたり、道路が使えなくなったりしても、ウェブ会議システムを活用すれば、市役所から各拠点に指示を出すことができることを訴求した。市の限られたIT予算ではなく、重点施策として進めているBCPの予算を使ってもらい、受注にこぎ着けた。
「お客様の温かい支援が私を成長させた」。感謝を込めて振り返る。現在は、守破離の「離」に取り組もうと、郡山市役所にウェブ会議のさらなる活用を提案中。「タブレットを使い、市民との会話もできるツールにしたい」。吉山は“自分の道”を貫き、今日もばりばり活躍している。(文中敬称略)
プロフィール
吉山 啓輔
吉山 啓輔(よしやま けいすけ)
沖縄県生まれ。大学在学中に岩手県の被災地でボランティア活動に参加し、瓦礫の撤去など、インフラ復活作業に携わる。その際、コミュニケーションのインフラとしてICT(情報通信技術)の重要性に着眼し、2013年に大学を卒業後、ウェブ会議・テレビ会議システムを提供するブイキューブに入社。直販の営業部隊で活躍中。