ベトナムの首都ハノイから車で2時間ほど。緑豊かな住宅街が広がるベトチでダオヴィエト・グエンは生まれ育った。グエンの進路を決定づけたのが、当時通っていた高校のパソコン教室にあったNECのPC-9800シリーズ。「これは世界を変える」と背筋に電気が走った。留学先は「パソコンやアニメ・ゲームで親近感がある日本」に決めた。
日本に来て14年。故郷ベトナムの発展は目覚ましいものがあった。「高校時代に触った98はネットにすらつながっていなかったが、今や誰の手にもスマートフォンがある」。スマートフォン向けビジネスで起業した同級生や先輩、後輩も少なくない。わずか20年でこの変わりよう。ベトナムを離れたからこそ見えるデジタライゼーションの速さだった。
企業向けの情報システムも、社会の変化への適応は避けて通れない。昨日まで田畑だったところが、いきなり近代的なオフィス街に変貌するベトナムほどではないにせよ、「日本のITは間違いなく世界の先端を行く進化をみせている」と分析する。
大切なのは、「常に最先端に自分の身を置くこと」。アクセンチュアを転職先に選んだのも、世界中の高度な専門家とプロジェクトを組めるからだ。グエン自身は、SAPの「HANA Cloud Platform」の認定資格を日本国内で最も早い時期に取得。「自分の知識を必要とするプロジェクトがあれば、国や地域を越えて参加する」のがアクセンチュア流だ。
デジタライゼーションの魅力はスピード感。同時にスピードに追いつけなかったときの怖さもあわせもつ。「これから20年の変化はもっと速い」と気を引き締める。(敬称略)
プロフィール
ダオヴィエト・グエン
(Daoviet Nguyen)
1982年、ベトナム・ベトチ生まれ。2003年、来日。10年、東京工業大学工学部大学院理工学研究科工学系(修士)修了。同年、TIS入社。17年2月、アクセンチュア入社。