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出張費削減が目をひく
ネットワーク
テレプレゼンスが不況下で浮上
シスコシステムズが販売している大型テレビ会議システム「テレプレゼンス・システム(Cisco TelePresenceシリーズ)」は、国内外に多拠点の支社・子会社などを抱える中堅・大手企業の間で「交通費などを削減できるアイテム」として需要が高まっているようだ。同社試算によると、この製品を利用することで、社内会議で社員が本社や拠点に出向く回数分の交通費が減らせ、人数が多ければ年間平均20~30%の削減効果があるとしている。
拠点間の業務連絡を電話ですませることが多いが、「コミュニケーションを密にとる」という用途で「テレプレゼンス」を導入した場合も、通常の固定電話に比べて通信費など最低10%程度の削減が可能という。「テレプレゼンス」はIPベースの電話で、呼処理システムと連動して受けるために電話料金が安価に収まるのがその理由だ。
米調査会社ABIリサーチは、世界の「テレプレゼンス」の市場規模が2007年の1億2600万ドル(約126億円)未満から2013年には25億ドル(約2500億円)に拡大すると予測している。市場自体はまだ小さいが、導入即日からコスト削減額が「見える」ため、ユーザー企業にとっては、「投資対効果」を確認しやすい。
大企業を中心に、「出張費削減」を掲げる企業が増えている不況下でこそ、導入検討の俎上にあげやすいプロダクトになる。このため、シスコシステムズの販社は、この「テレプレゼンス」を中堅・大手企業を中心ターゲットに売り込みを活発化させている。
NIerの三井情報は、各種保守サービス業や製薬業などの大企業向けに「テレプレゼンス」を導入した実績をもっている。「システムが高額であっても、中・長期的にはROI(投資利益率)が見出せる」(松下俊行・プロダクト企画グループマネージャー)と評価する導入企業が多く、好感触を得ているようだ。 ほかのNIerの動きも素早い。ネットマークスは、これまでにIP電話を導入した既存ユーザー企業に対し、次のステップとして「テレプレゼンス」を提案している。
最近は、システム提案時に機器導入費や通信回線費、ネットワーク構築費について、運用費削減で何年間で回収できるかなど、ROIを明示したコンサルティングを開始した。
ネットワンシステムズでは、「テレプレゼンス」導入にプラスアルファする戦略として、シスコの「ネットワーク仮想化」が可能な基幹スイッチ「Nexusシリーズ」の拡販に力を入れている。主な対象として、コールセンター運営会社の需要掘り起こしに力を入れる。「テレプレゼンス」とは別に、クラウド・コンピューティングを視野に入れてビジネス展開するデータセンター(DC)に対して、「Nexusシリーズ」をベースにしたコスト削減提案を積極的に行い、早期の案件獲得を狙う。
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パートナー提案の肝に
アプリケーション
機器稼働・監視で運用費削減
IT資産管理ソフトウェアメーカーでは、コスト削減を前面に打ち出して提案しようとする動きが活発だ。Skyはこのご時勢を“追い風”にするため、6月下旬に発売するセキュリティ対策と運用管理ソフトの新版「SKYSEA Client View 4.0」で、コスト削減をアピールする方針を固めた。これまでは「強固なセキュリティ機能や使いやすさ」を訴求していたが、今回はITシステムの運用費削減に貢献することをPRの柱に据える。
例えば、サーバー台数の削減だ。この新版ソフトを導入すれば、企業内に点在するサーバー台数の稼働率のほか、CPUの使用率や消費電力、ハードディスクドライブ(HDD)の空き容量が自動計測できる。ここで導き出したデータをもとに、フル稼働していないサーバーに負荷分散することで新規サーバーの購入を見送ることもでき、サーバー統合による運用費削減を図ることもできる。
この打ち出しを、既存取引先のSIerと共同で行っていく。このほか、時代に即した名称そのままの「コスト削減機能」を数十種類用意。Skyは、こうした運用コスト削減を実現するツールとして「SKYSEA Client View」を位置づけたわけだ。
Skyと競合するエムオーテックス(MOTEX)も「コスト削減」を戦略的なキーワードとして活用する方針だ。市場シェアNo.1のネットワーク監視ツール「LanScope Cat 6」で運用コスト削減に寄与することを訴える。受注に結びつきやすくするために、ユーザー企業の情報システムでどの程度コスト削減が可能かを診断する無償サービスを開始している。池田淳・Sales Promotion営業推進部課長は「コスト削減策は確かにユーザー企業で求められているが、販売パートナーにとっても、ほしい提案材料の一つ。従来のセキュリティや運用効率化に加え、コスト削減を付加する」と語る。これによって、パートナーがユーザー企業に提案しやすくすることを狙う。
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