キヤノンITソリューションズ
市場はすでに一服感漂う 価格改定でリプレース狙う
キヤノンITソリューションズ(武井尭社長)は、他社とは逆に「市場はすでに一服感が漂っている。フィルタリングといっても、精度うんぬんはさておき、UTMなどさまざまなネットワーク機器に付属しているものがあることも踏まえると、相当数が導入されているのではないか」(セキュリティソリューション事業部第一営業部の中橋豊一部長)とみる。
同社が販売する、URLフィルタリングソフト「WEBGUARDIAN(ウェブガーディアン)」は、個人情報保護法案が国会に提出された時期の02~03年ごろに販売を開始した後発製品だ。今夏、同社は新しいライセンスの価格体系を打ち出した。これまでクライアント数のほかにサーバー台数も合わせて価格を算出していたが、他社と同じように、クライアント数のみの年間サブスクリプションモデルに切り替えたことで、より導入を容易にし、運用コストを引き下げた。また、「アカデミックライセンス」を復活。「乗り換え価格」を設定することで、他社からのリプレースを商機として狙う。
同社は電子メールフィルタリングソフト「GUARDIANWALL(ガーディアンウォール)」で2000社の導入実績をもっている。情報漏えいを防ぐためにはSMTPを管理することに合わせて、HTTPも管理することが必要なことから、「GUARDIANWALL」と「WEBGUARDIAN」を組み合わせた「GUARDIANSUITE(ガーディアンスイート)」で提案することも多い。
URLフィルタリングの伸びしろは確実に縮んでいるとみるものの、価格を改定したことで「新規導入製品同士の価格を比べても、当社製品が一番安価になった。意識的に価格を安価に設定したことで、他社製品に正面からぶつけていく」(同事業部の植松大担当課長)と意気込んでいる。
売り手は“モバイル”に着眼 性能・コストが重要
セキュリティ製品の「売り手」であるSIerは、企業でIT利用環境が変化しモバイルPCの利用が増えていることに着眼し始めた。企業の管理が行き届かない外出先で、企業側で支給したPCを使い、フリーメールや掲示板へのアクセス、フリーのファイル転送サービス、USBメモリでの持ち出しなどによって、機密情報が漏えいする危険性が高まっているからだ。
インプレスR&D調査によれば、インターネット利用可能なノートPCを有する国内企業は85.7%。従業員1000人以上の中堅・大企業では、持ち出し用のPCにフィルタリングを施している会社が半数以下という結果が出ている。ほとんどフィルタリングしていないと考えられる中小企業を考慮に入れれば、残っている市場は大きい。
最近のセキュリティ市場について大塚商会の西川靖彦・セキュリティプロモーション課長は、「既存のセキュリティレベルを向上させるため、新たな投資をしてそれ以上の強度にするニーズは少なくなりつつある」と話す。しかし「パーツパーツで需要が高まっているモノが出てきた」(同)として、USBメモリ関連の暗号化や持ち出しPCのフィルタリング、履歴(ログ)管理などのニーズは依然として高いレベルにあると、現状を指摘する。
とくに、官庁・自治体や「スクール・ニューディール構想」を受けてパソコン設置が増える学校など、IT資産管理が未整備な公共案件での需要が底堅いとみるベンダーは多いようだ。
この不況の影響を受けて低コストの要求が高まり、「1ライセンスで5000~8000円というレベルでないと売れない状況にある」(西川課長)と話す。セキュリティ製品の性能はもとより、価格要求に応えられる製品が求められている。