NIerの動向
まずはコスト削減を提案 NIer(ネットワーク系インテグレータ)は、ネットワークやストレージなどのインフラ構築ビジネスでDCをターゲットとして顧客開拓に力を注いでいることから、CO2削減など環境対策の提案に余念がない。また、インフラのリプレースでコスト削減につながることも訴えている。システム案件の獲得が厳しい状況のなか、グリーンITを切り口にビジネスチャンスをつかもうとしている。
ネットワンシステムズでは、ネットワークインフラのリプレースに加えてリモートによる監視サービスを付加することで需要を開拓している。どのインフラ部分に負荷がかかっているかなどネットワーク稼働状況が把握できるため、グリーンIT化を促進することができるとユーザー企業に好評だ。需要を掘り起こせることから、今後は同サービスに加え、アウトソーシング関連で環境対策につながるサービスの創造も模索している。
ネットマークスでは、ネットワークに加えてストレージを含めたインフラという観点で「ユーザー企業に対し、最も案件に結びつきやすいのはコスト削減だから、これをアピールすることが重要」(黒田卓爾・市場開発統括部ICTサービス基盤営業部シニアエキスパート)と打ち明ける。実際、コスト削減だけではなく「それに加えて政府が打ち出したCO2削減にもつながることを訴えると、ユーザー企業が重い腰を上げる」という。ユーザー企業が消極的な姿勢なのは、依然として不況でITに関する投資を控えているためだ。ただ、環境対策についても準備を進めなければならないことから、「コスト削減と環境対策の両輪で需要を掘り起こしていく」方針を掲げており、事業拡大を図っている。
ディストリビュータの動向
啓蒙活動でビジネス拡大につなげる ダイワボウ情報システム(DIS)は、08年7月に大手ディストリビュータとして「グリーンIT宣言」を表明。本格的なグリーンITビジネスに乗り出している。
猪狩司・販売推進本部販売推進部長兼マーケティング部長は「今回の政府の方針はメーカーの開発や企業の導入を加速しグリーンITにとって追い風になる」とみる。
DISではこうした国内の動きはもちろん、世界的な環境意識の高まりを受け、今後、ITベンダーによるクライアントPCや周辺機器などの環境対応製品が続々と投入されると予測。温室効果ガスとコストの削減を実現できる付加価値製品として「大きなビジネスチャンスになる」(同)ことを見込む。
DISではグリーンIT商材ではハードとして省電力のサーバーやPC、待機電力の少ないプリンタを販売する。ターゲットは中堅・中小企業(SMB)だ。
サーバーやPCの販売では「Vroテクノロジー」と呼ぶ電力効率に優れるCPUを搭載した製品の普及で、今年6月にインテルとの協業を発表した。同時にプリンタのトナーやインクを調整し節約するソフトや消費電力を計算するソフトなども販売。製品単体で個別に売るのではなく、システムとしてソリューションで売り込むことで利益を高める狙いだ。
一方で、「エンドユーザーをはじめ販売先のSIer、販社でグリーンITを知らない人が多い」(同)と実感しており、年2回の展示会やセミナー開催などを積極的にグリーンITをアピールしている。
09年9月に開催した福島県の展示会ではグリーンITの基調講演の開催や専門コーナーの設置を実施したほか、10月からは全国53か所でセミナーを開催した。猪狩部長は「非常に手応えを感じた」と話す。11月の展示会でもグリーンITをテーマにする予定だ。
環境製品の訴求は、取引先の購買サイト「韋駄天」でも展開。専門コーナーを設けて製品を紹介するほか、「エコマーク」や「国際エネルギースター」などの環境対応情報を製品ごとに登録し表示している。これにより、グリーンITの浸透と販売の拡大を狙う。
今後は販売店と手を組み、エンドユーザーが環境対策と収益向上に結び付くようなグリーンITの活用を支援するコンサルティングサービスの提供も視野に入れている。