NEC
No.1ブランドを武器に
「仮想化・エコ・BCP」を売りやすく
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NEC 浅賀博行本部長代理 |
トップシェアのNECは、「仮想化」「環境対策」「BCP」というキーワードにこだわっている。どのメーカーも謳うキーワードだが、各テーマに合わせた売りやすい商品を用意しているのが強みだ。
例えば仮想化では、昨年12月に「仮想化お手軽導入セット」を用意。ヴイエムウェアと協業して、「VMware vSphere 5 Essentials」を、通常よりも安価な9万9000円で販売できる体制を整備した。NECのx86サーバー「Express5800/Gモデル」と合わせて30万4400円で提供する体制も整えた。「この価格は、他社は真似できないはず。『仮想化を30万円で』と謳ってもらえれば、SMBのユーザーにも受け入れてもらえると思って企画した」と説明。短期間で案件をまとめやすく、年度末商戦に効果的であることを訴えている。浅賀本部長代理は、「SMBからの仮想化ニーズがかなり高まってきた」という感触を得ており、こうした安価なセット製品を用意することで、SMBの仮想化商談をより多く取り込もうとしている。そのうえで、パートナー向け技術者認定制度を推進。営業と技術の両面で、パートナーの仮想化スキル向上を図る。
一方、環境では、室温40℃でも安定稼働するNEC独自の設計技術をもち、BCPではアジア・パシフィック地域で2年連続トップシェア(米IDC調べ)のクラスタリングソフト「CLUSTERPRO」と「Express5800」、そしてストレージの「iStorage」を組み合わせた災害対策パックを用意している。SIerがソリューションを企画しなくても、売りやすいソリューションをNECが揃え、それを売るスキルを身につける育成制度を約350社のNECの販売パートナーに向けて展開する。それがNECの強みであり、基本戦略だ。
日本HP
VDIが絶好調、来年度にも商機
次世代機種の発売も
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日本HP 橘一徳本部長 |
日本HPがいち押しするのは、「VDI(仮想デスクトップインフラストラクチャ)」である。その理由は、「VDI関連の案件総額が前年に比べて6倍に増えている」(橘一徳・ISSビジネス本部本部長)という実績があるからだ。VDIは、OSとアプリケーションソフト、データをサーバーに格納・集中管理し、ネットワークを通じてパソコンや専用端末で利用するもの。VDIを構築すれば、端末管理が容易で、データの漏えいも起こりにくい。「デスクトップ(クライアント端末)の仮想化ソリューション」ともいわれ、サーバーの次に来る仮想化分野と期待されていたが、それが実需に結びつき始めたわけだ。VDIを構築するにはサーバーは必須で、VDIが伸びればサーバーも自ずと売れる。VDIは、とくにブレード型サーバーとの相性がいい。仮想化など、どのメーカーでも謳うキーワードに加えて、日本HPはVDIを推進する考えだ。
2012年度の戦略で注目に値するのは、「MOONSHOT」というプロジェクトだ。これは、手のひらサイズのきょう体に、サーバーを4台搭載することができる新機種を開発するプロジェクトで、「今年後半には発売する」(橘本部長)という見込みだ。「消費電力、コスト、設置スペース、管理工数」のすべてを削減できるという戦略機種で、データの大容量化に対応し、環境にも配慮しなければならない情報システム担当者に訴求する。差異化要素が見出しにくくなっているx86サーバーだが、同様のコンセプトの製品は他社にはみられない。予定通り出荷にこぎ着ければ、日本HPの存在感は間違いなく高まる。
富士通
パートナー支援体制を増強
「販社の声を拾う」組織を新設
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富士通 芝本隆政統括部長兼室長 |
富士通のポイントは、販売パートナーの支援体制にある。省電力や「バリューモデル」というハードウェア構成を事前にセットした安価なモデルも特徴だが、販売パートナーの支援体制を増強したことが大きい。プラットフォーム関連製品のマーケティングを担当する「システムプロダクト販売推進本部」に、「パートナープラットフォームビジネス推進室」という組織を2012年1月に設置。室長には、x86サーバー「PRIMERGY」の販売促進を手がける同本部PRIMERGYビジネス推進統括部の芝本隆政統括部長が兼務で就いた。
パートナープラットフォームビジネス推進室の業務は、パートナーの意見を収集し、それを製品開発やマーケティングプランに生かすというもの。担当製品は、x86サーバーだけでなく、ストレージやミドルウェアなど、IT基盤を構成するための複数のプラットフォーム製品にまたがる。芝本統括部長は、「富士通マーケティング(FJM)が生まれて、パートナーとの協業は基本的にFJMが行う。だが、富士通にもパートナーの要望・課題を聞く窓口が必要だった。パートナーはサーバーだけを販売しているわけではないので、複数の製品をカバーすることも大切だった」と話している。
パートナーの不満を聞き、それを製品開発部門や各製品の販促部門に提供して製品開発に生かすという負担の大きい仕事だが、「PRIMERGY」を売るにはこうした組織が必要だと判断し、芝本統括部長が自らつくった。この組織がきちんと機能するかどうかが、富士通のx86サーバーの販売を大きく左右する。
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