現場主義で勝負!
データ活用の事例を着々と蓄積
【東京エレクトロン デバイス(TED)】
「パッケージ化で導入のしやすさを追求」
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TED 小林浩樹部長 |
半導体のほか、ネットワーク機器やストレージの販売を手がける東京エレクトロン デバイス(TED)。ビックデータを事業の柱として掲げるEMCジャパンの有力販社として、DBソフトウェア「Greenplum」や大容量処理対応ストレージ「Isilon」を販売している。TEDは、Greenplum社とIsilon社の製品を、EMCがその2社を買収する前から取り扱っており、Greenplum/Isilonを活用したデータベースのインフラづくりに関して、多くの実績をもつ。
同社は、「IT製品の販売だけではなく、製品に独自のサービスを追加するSI事業者を目指している」(CN事業統括本部 CN営業本部 コーポレートアカウント営業部の小林浩樹部長)という。そして、中期的にはSIerになるために、ビッグデータの事業化をメインに据えた取り組みを行っている。
TEDは、ユーザー企業にはデータを活用するためのインフラ基盤がまだできあがっていないので、まずはデータベースなどのインフラ整備に着手する必要があるとみている。データを蓄積して、はじめてビッグデータになると判断し、GreenplumやIsilonを使って、小規模のデータ分析ソリューションを提案している。同社が提案のキーワードに掲げているのは、データ活用の「パッケージ化」だ。Greenplum製品をサーバーやスイッチなど他のIT機器と組み合わせて短時間で導入することができる「TED Greenplum パッケージ」を投入しており、今年に入って、パッケージの展開に確かな手応えを感じているという。
●販社の役割を明確に  |
TED 住友義典氏 |
CN営業本部のコーポレートアカウント営業部で「TED Greenplum パッケージ」の提案活動に携わる住友義典氏は、「一つのオプションとして、Greenplumとビジネスインテリジェンス(BI)ツールをセットにして提供するメニューを用意している。BIツールを追加するかたちで、販社にしかできない展開を実現し、メーカーの製品に付加価値をつけることによって、ビッグデータの事業化における販社の役割を明確にしている」と説明する。
TEDは、ビッグデータ関連ビジネスを拡大するために、「複数のベンダーが力を合わせる協業の推進に取り組んでいく」(小林部長)という。具体的には、案件ごとに、数社のSIer/販社の専門家で構成するチームをつくり、必要な製品やスキルを補完し合いながら、データ分析・活用ソリューションを実現するというわけだ。
【三井情報】
「ニッチな分野に特化する」
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三井情報 濱本佳政室長 |
データ分析・活用に対するニーズが旺盛で、ビッグデータがビジネスにつながりやすい分野としては、通信や金融のほか、オンラインゲームなどウェブサービスを展開する事業者が挙げられる。中堅規模のIT販社にとって、自社の強みにあわせてターゲットとする業界を見定め、テーマを見つけてビッグデータを事業化することがポイントになる。
通信キャリア向けのネットワーク構築に強いICT(情報通信技術)ベンダーの三井情報は、もう一つの得意分野である「バイオサイエンス(生物科学)」を、ビッグデータ事業化のテーマとして掲げている。同社は、データをリアルタイムに処理するSAPのインメモリ型ソフトウェア「SAP HANA」や、オープンソースのミドルウェア「Hadoop」を採用し、ゲノム(全遺伝情報)を解析するプラットフォームの開発を手がけている。年内をめどにプラットフォームを商品化し、病院や研究機関、製薬会社などに提供していく。
同社のR&DセンターでITリサーチ室を率いる濱本佳政室長は、「バイオサイエンスの分野では、技術の進展によって、コストを抑えてデータを収集・分析でき、これまで実現不可能だったことが安価に実現できるようになっている」と、プラットフォーム開発のタイミングを説明する。プラットフォームは、臨床現場で個人のゲノムを解析し、個別化治療を実現したり、ガン細胞のゲノム解析から新しい治療薬の開発のためのヒントを得たりと、さまざまな活用シーンを想定している。
●サービス型商材に注力 三井情報は、ICTベンダー間の競争やネットワーク機器の低価格化が進んでいる状況にあって、ビジネスモデルの転換に取り組んでおり、サービス型の独自商材の開発に力を入れている。サービスそのものによって収益をあげるだけでなく、サービスをツールとして、従来のネットワーク構築事業を活性化しようとしている。同社は、ビッグデータ商材の第一弾となるゲノム解析プラットフォームの実用化に向け、現時点で「製薬会社をはじめ、当社にはない生のゲノム情報をもっているパートナーを探す」(濱本室長)ことに力を入れているという。
濱本室長は、「パートナーを獲得してビジネスプランを固め、データ分析ソリューションをいち早く事業化したい。この先の半年、迅速に動き、展開を具体化していく」と意気込みを示している。

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