BCP(事業継続計画)やDR(災害復旧)などのニーズが依然として高く、手軽という点からオンラインバックアップサービスを導入するケースが多くなっているなか、ストレージ機器を中心としたビジネスは今、どのような状況なのか。主要メーカーの戦略を追う。(取材・文/佐相彰彦)
2014~19年CAGRは1.5%
ミッドレンジ/ローエンドが成長
ハードウェアの販売が厳しいといわれているなか、ストレージ機器はITベンダーにとって、ビジネス拡大の可能性を秘めた商材といえるだろう。
IDC Japanは、国内外付け型ディスクストレージシステムと称して、市場規模を調査している。それによると、2014年の市場規模は前年比2.6%減の1866億1300万円だった。ただ、減少した要因は、13年にメインフレームの大型リプレースが集中したこと、また、サーバー仮想化やVDIなどの仮想化環境向け、さらにクラウド環境向けストレージ需要の拡大で、前年比10.6%増と高い成長を果たした反動によるものだ。15年以降は仮想化環境向けやクラウド向け需要の増加によって、市場が着実に拡大すると予測している。実際、15年第一四半期は561億8200万円(前年同期比9.1%増)と好調に伸びている。
また、IDC Japanによれば14年に導入が進んだモデルは、ミッドレンジ(価格が500万~3000万円未満)とローエンド(同500万円未満)という。ミッドレンジは、仮想化環境やクラウド環境で、高信頼性、高可用性に加えて、最新のストレージ機能(仮想化、重複排除/圧縮、フラッシュ搭載など)を備えながら、コストパフォーマンスが高いとの評価で2ケタ成長を遂げた。ローエンドは、価格がリーズナブルで手軽にリプレースできる点が評価された。このような状況から、IDC Japanでは14年~19年における年間平均成長率(CAGR)がハイエンドでマイナス3.3%とあるが、ミッドレンジで3.2%、ローエンドで3.3%、全体で1.5%のプラスとなり、19年には市場規模が、2008億5500万円規模に達すると予測する。
14年時点のメーカー別シェアは、日立製作所が21.0%でトップ、次いで富士通が17.4%、EMCジャパンが14.2%、NECが9.5%、日本IBMが8.4%、ネットアップが7.9%、日本ヒューレット・パッカードが6.7%と続く。各社ともシェア拡大に向けてビジネス強化を図っている。それぞれの取り組みをみていこう。
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