富士ソフト
「攻めのIT投資」を提案

高野祐一
部長 「ある程度の特需を見込んでいたが、結果的に盛り上がりに欠けた」。そう語るのは、富士ソフトの高野祐一・MS事業部営業部部長だ。富士ソフトでは、サポート終了間近に駆け込みの案件が増加することを想定し、それに対して、OS間のアプリケーションの互換性問題を解消し、短期間でリプレースできる「らくらくアップグレード for Windows Server 2003」で乗り切る考えでいた。しかし、予想に反して、サポート終了前での引き合いはあまりなかったという。
その要因として、大きく2点を挙げている。一つ目は、「サポートが切れるから、リプレースしなければならない」という「守りの投資」への懸念。マインドが「攻めの投資」へと向かっているユーザー企業の目に、セキュリティレベルを担保するための投資は、どうしてもマイナスに映ってしまう。二つ目は、アプリケーションの改修に伴うコストだ。「フルスクラッチでつくり込んだアプリケーションを、Windows Server 2003以降の新しいサーバーに対応させるために改修する費用を考えると、なかなか移行に踏み切れなかったのではないか」と、高野部長は分析している。
一方、高野部長は「(引き合いが)一番ピークだったのは、サポート終了の1年前だった」と前置きをしたうえで、「盛り上がりに欠けた割には、順調に減った感覚はある」と説明している。Windows XPの移行は使い続けることの危険性を煽ってリプレースが進んだことに対して、Windows Server 2003は、早い段階で何らかの対処を行ったユーザー企業が多かったということだ。実際、富士ソフトのユーザー企業は、2年前から1年半前にRFP(提案依頼書)を出してきたという。
今後も継続してWindows Server 2003の移行支援を行っていくが、サポート終了を迎えた今はサーバー中心の提案でユーザー企業の心を動かすことは難しい。守りの投資への抵抗感もある。そこで、富士ソフトでは、強みとしている在宅勤務やテレワークなど、ワークスタイルの変革を実現する製品・サービスとサーバーのリプレースを組み合わせた提案を進めていく方針だ。「ユーザー企業のマインドが攻めの投資へと動いているなかで、いくら守りの提案をしてもお客様の心には響かない。マイクロソフトの製品・サービスでいえば、タブレット端末『Surface』やクラウドサービス『Office 365』などで、さらに生産性の高い働き方を訴求する」(高野部長)。そのなかでWindows Server 2003をはじめとする古いサーバーがみつかった際には、最新版へのアップグレードを提案するというアプローチへ転換する。
日本事務器
クラウドを絡めたソリューション拡大へ
「Windows Server 2003の約半数がファイルサーバーだといわれている。しかし、当社ではアプリケーションサーバーやデータベースサーバーの取り扱いが多く、ファイルサーバーはほとんどないことが要因ではないか」と話すのは、日本事務器の高井俊彦・事業推進本部プラットフォームソリューション事業推進部部長。
この言葉を踏まえると、同社ではリプレース特需はみられなかったようだ。実際に、アプリケーションに左右され、OSを変えることができないというユーザー企業が相当数を占めていた。また、同社が多く抱える医療分野の顧客は、一定のサイクルでシステムを変えるため、いい換えれば、そのタイミングでなければシステムを変えられない。それも要因の一つであると分析している。
同社では、昨年4月からサポート終了に伴う移行支援サービスとして、クラウドへの移行や、サーバーの移行支援を行ってきた。当初は開催したセミナーの集客や問い合わせも多かったが、リプレースへの抵抗から、商談までなかなか結びつかなった。そこで、スケジュール上、サポート終了までに移行が難しくなってきたところで、リスクヘッジのために仮想化と「仮想パッチ」による延命ソリューションを中心とした提案に切り替え、「何かあれば、お客様のところへすぐに行き対応できるようにした」(中村卓哉・営業本部営業統括部営業企画部リーダー)という。
しかし、延命はあくまで一時的な対策にすぎず、ユーザー企業にとっては直接的な問題の解決にはならない。この「猶予期間」のなかで、継続して次のビジネスにつなげられるかが重要となる。そのため、「今後は、当社の持ち味を生かしたソリューションとクラウドサービスを組み合わせた提案を行っていく」(佐藤信幸・営業本部営業統括部営業企画部部長)とのことだ。とくに、クラウドでどのようなサービスを絡めるかがリプレースを促す決め手になりそうだ。
Windows OSは何年かに一度、必ず変える必要がある。事実、2020年にはクライアントOS「Windows 7」とサーバーOS「Windows Server 2008」のサポート終了が控えている。そのたびにリプレースしなければならないのは、ユーザー企業に相当の負担を強いることになる。
パブリッククラウドとオンプレミス型システムのハイブリッド環境を含めて、プラットフォームに左右されないようなソリューションを開発することが急務だとしている。

写真左から、佐藤信幸部長、高井俊彦部長、中村卓哉リーダーJBCC
ストレージとの仮想化統合が好調

大島貴幸
部長 JBグループのJBCCでは、2014年度(15年3月期)の4月から、Windows Server 2003のサポート終了を打ち出した移行ビジネスを開始した。サーバーの台数は減ったものの、単価が上がったことで、「実績自体は悪くなかった」(大島貴幸・プラットフォーム・ソリューション事業部製品技術部部長)としているが、特需はみられなかったという。
JBグループのWindows Server 2003の移行ビジネスでは、リプレースから延命のセキュリティ対策まで、幅広く行っている。なかでもファイルサーバーの移行では、「NetApp」ストレージを利用した、ファイルサーバーを集約して仮想化統合する移行サービスで「大きな案件を獲得できた」という。大島部長の属するプラットフォーム・ソリューション事業部では、現在、ストレージ製品に最も注力しており、「お客様の課題を正しく整理し、複数ある商材のなかから、最もお客様の要望を満たすものが提供できる」ことを強みとしている。サーバーの仮想化統合については、「当社の商材力を生かし、価値のあるストレージでお客様に訴求した」と、大島部長はビジネスにつながったことを説明する。
一方、サーバーをまったく使っていない、いわゆる「塩漬け」のシステムをもつユーザー企業に対しては、なかなか訴求できていないのが事実だ。「『アプリケーションを改修してまで使うつもりはない』『インターネットにつながっていないから大丈夫』といわれると、入り込みづらい」。ユーザー企業のなかでは、このようなケースが少ないが、市場全体を捉えると課題として残っている。
現在、JBグループのユーザー企業のなかでWindows Server 2003のユーザーは少ない。大島部長は、「早い段階からアナウンスしてきたため、Windows Server 2003のリプレースは、ほぼ完了している」という。しかし、予算が取れなかったり、移行先のシステムの選定が遅れたりしたことで、まだ移行を先延ばしにしているユーザー企業もいる。
同社では、Windows Server 2003を使用しているユーザー企業に対して、引き続きフォローしていき、販売に力を入れているストレージを提案することも行っていく方針だ。
ソフトバンク コマース&サービス
最新製品やハイブリッド環境を提案
ディストリビュータでは、どのような状況だったのか。ソフトバンク コマース&サービス(ソフトバンク C&S)では、ビジネスを手がけるにあたって、2013年と比較して30%から50%の売上増を見込んでいたが、結果として特需はみられなかったという。
Windows Server 2003のサポート終了に絡めた大きな取り組みの一つとして、ホームページ上に「ソフトバンク C&S サーバーマイグレーションセンター」を昨年7月に開設した。センターでは、ユーザーのサーバー移行における課題を解決するソリューションを提供している。とくに、「サポート終了を機に仮想化したい」「移行時の動作検証がしたい」などの要望があったという。同社のパートナーであるリセラーを中心に、1か月平均で約700前後のアクセスがあった。
Windows Server 2003が残っているケースについて、友秀貴・ICT事業本部ICT営業本部仮想化クラウド販売推進統括部統括部長は、「現在使用しているハードウェアとともに、老朽化したら移行する、もしくは移行すべきものはすでに移行しているケースが多いのではないか」と分析している。そのような状況であることから、特需は起こらず「販売パートナーから『サーバーが出ていかない』との声をよく聞いた」(同)としている。
今回を踏まえて、ソフトバンク C&Sではユーザー企業が平均5年のサイクルでシステムを変更する傾向にあると判断している。そのため、20年にサポート終了となるWindows Server 2008関連のリプレースについては、「今年度末(16年3月期)から17年度にかけてリプレースを検討するのではないか」(平山幸治・ICT事業本部MD本部サーバー事業担当エグゼクティブディレクター)と予測している。Windows Server 2012を含めた最新の製品や、オンプレミスとクラウドのハイブリッド環境を提案していく方針だ。

友 秀貴統括部長(右)平山幸治エグゼクティブディレクター
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