2016年 IT業界の「マ・イ・ナ・ス・金・利」
日本銀行は2月16日、日銀当座預金の一部に「マイナス金利」を導入した。日本銀行としては初のチャレンジで、その効果や影響がどう出るかが、経済界では大きな関心事となる1年であった。では、チャレンジングな企業が多いIT業界は、どのような1年だったのか。本紙の特集記事から「マ・イ・ナ・ス・金・利」で振り返ってみよう。
●マ “松”山のIT市場とIT事情 四国最大で人口約51万6000人を抱える城下町、愛媛県松山市。司馬遼太郎の長編歴史小説「坂の上の雲」の主人公三人の出身地にあやかり、「坂の上の雲のまちづくり」と名づけた地域活性化策を推進している。雲と言えばクラウドだが、松山はどうだったのか。
松山のIT業界は地域に根づいていて、地場のSIerは首都圏の下請けではなく、地域のニーズに応えることに注力している企業が多い。そのためか、クラウド化への取り組みはこれからという印象だった。
日本全国を取材領域としている週刊BCNでは、松山特集を皮切りに、仙台特集(Vol.1622)、名古屋特集(Vol.1635)、札幌特集(Vol.1639)、福岡特集(Vol.1647)、金沢特集(Vol.1652)と、6都市の特集を組んだ。

(2月29日付 Vol.1618 掲載)
●イ オープン“イ”ノベーションへ! SIerの挑戦 異なる業種や地域の企業や団体が協力し、イノベーションを起こそうという取り組みが「オープンイノベーション」として、注目されている。IT業界においても、ユーザー企業と大手SIer、ベンチャー企業の3者によるオープンイノベーションへの取り組みが増えてきている。
週刊BCNでは、ここにきてオープンイノベーションが盛り上がりつつある理由を「デジタルトランスフォーメーション」にあると紹介。SIerにフォーカスし、オープンイノベーションを成功に導くための事例などを解説した。ちなみに、週刊BCNではオープンイノベーションをテーマに「BCN Conference 2016」を8月24日に開催。その模様を特集記事として、Vol.1647に掲載した。
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(9月12日付 Vol.1644 掲載)
●ナ “内”部不正をどう防ぐ? 今や毎日のように何らかの情報漏えいインシデントが発生している。その要因としては、近年大きく報じられる「標的型攻撃」や「ゼロデイ攻撃」など外部からの脅威によるものばかりでなく、企業内部の人間が過失または故意により情報を流出させてしまう“内部不正”も多い。セキュリティ業界のトレンドとしては落ち着きをみせているものの、いまだ情報漏えいインシデントの8割以上が内部に原因がある。
しかしながら、ユーザー企業の関心は標的型攻撃など、外部脅威により集まっている。「内部不正については性善説で捉えていたり、他人事と考えていたりする企業が多い」との声が少なからずある。どう対処するべきか。セキュリティベンダーの取り組みを追った。

(9月5日付 Vol.1643 掲載)
●ス 企業を容量制限から解き放つオブジェクト“ス”トレージ オブジェクトストレージには、クラウド/データセンター事業者や、先進的なウェブサービスのための技術といったイメージがあった。しかし、多くの企業でデータ容量は増大の一途をたどっており、大容量を低コストでまかなえるオブジェクトストレージは、今や幅広いユーザーに適用が可能なものになりつつある。特集では最新の製品動向などを探った。
ストレージに関しては、いよいよ本格普及が始まると期待される「オールフラッシュストレージ」をVol.1641で特集。オールフラッシュストレージは、高性能が最大の特徴だが、高価なだけに、それだけでない価値をどのように訴求するかが提案のポイントとなることを紹介した。

(8月22日付 Vol.1641 掲載)
●金 “金”融×IT FinTechの現在地 Finance+Technology=FinTech。もはやエンタープライズITの世界でも、非常に有望な市場の一つであるという認識は定着した感がある。昨年半ば頃からのバブル的な盛り上がりは収まってきたようにもみえるが、関連銘柄の株価が高騰傾向にあるという状況は続いている。金融×ITで新しいビジネスを創造しようという具体的な事例も徐々に出てきている。そうした開拓者たちの動きにスポットをあて、成長軌道がみえてきたFinTech市場の現在の姿を紹介した。
また、「FinTechの代表的な技術イノベーション」として注目されている「ブロックチェーン」については、Vol.1627とVol.1628の2号連続で特集。法人向けITビジネス市場にどんな影響をもたらすのか、ゼロから理解できる“超初心者”向けの解説を試みた。

(9月19日付 Vol.1645 掲載)
●利 宇宙を「“利”用」する時代 ロボット、バイオテクノロジー、ヘルスケアなど、投資先として注目を集めている技術分野があるが、それらと並んでここ数年、シリコンバレー企業の経営者や投資家たちがこぞって資金を投入しているのが宇宙だ。かつて宇宙といえば、国レベルの研究機関や大手通信事業者以外には無縁の世界だったが、人工衛星をセンサ機器として捉えれば、それは大きなIoTソリューションの一つにほかならない。ITとの急速な接近により、今やビジネスのフィールドになりつつある宇宙。米国だけでなく、日本のスタートアップ企業もこの市場にチャレンジしようとしている。

(5月30日付 Vol.1630 掲載)
特集では、これから産業振興に向けて動き出すという段階にある日本のスタートアップ企業の取り組みについて紹介した。 ページ数:1/1 キャプション:
週刊BCN Top Newsのトップ10
週刊BCNのトップニュースに掲載した記事から、SNSの「いいね!」「シェア」などの数から記事をランキング。1位は、独立2年目で営業黒字化を果たしたVAIOだった。
Top 1
VAIO 独立2年目で営業黒字化(5月23日付 Vol.1629 掲載)

Top 2
日本マイクロソフト クラウドパートナーの拡大が止まらない!(2月22日付 Vol.1617 掲載)
Top 3さくらインターネット “高火力”な専用サーバーを自社開発(3月14日付 Vol.1620 掲載)
Top 4
マイクロソフト 「CRMやERPは死に絶える」(10月17日付 Vol.1649 掲載)
Top 5
ITベンダーのオープンイノベーション成功へのポイントを探る(9月5日付 Vol.1643 掲載)
Top 6富士通 SI子会社吸収合併の必然(10月24日付 Vol.1650 掲載)
Top 7日本IBM 成長領域へのシフトと人的投資を訴えた初の「Watson Summit」(6月13日付 Vol.1632 掲載)
Top 8
日本オラクル クラウドERPビジネス拡大に本腰(8月8日付 Vol.1640 掲載)
Top 9freee SMB向け基幹システム市場の破壊者になるか(6月20日付 Vol.1633 掲載)
Top 10ロボット・ディストリビュータの挑戦 組織の壁をロボットが破壊する(4月4日付 Vol.1623 掲載)
Face of the Year 2016
私はオオカミ。決して縛られない析得思(上海)商務咨詢 総経理 深水エリナ
風格を感じる写真と「私はオオカミ。決して縛られない」のフレーズ。編集部が選ぶ「Face of the Year 2016」に満場一致での選出となった。
深水エリナ氏は、プライベートで個性心理学に興じている。生年月日をもとに、動物にあてはめて、その人の個性や他人との相性を診断するもので、講師認定も取得したとのこと。「私はオオカミ」のフレーズは、自身の診断が「オオカミ」であることに由来する。
仕事に物足りなさを感じ始めたとき、中国で活躍する女性社長に出会い、上海行きを即決。中国語はまったく喋れなかったが「まったく気にしなかった」とのこと。その後の活躍は、本紙でお伝えしたとおり。「人生における究極の選択は、『やる』か『やらない』かの2択。だから私は、やりたいと思ったことをとにかくやる」。オオカミの称号は伊達じゃない。

(9月26日付 Vol.1646 掲載)
とうとう人間以外も登場!
“紙ってる”大塚商会の社内報「あゆみ」
『連載 奥田喜久男の千人回峰』
本紙主幹・奥田喜久男の連載企画「千人回峰」。本連載は「人とはなんぞや」を掲げながら、「人ありて我あり」を模索し続けている。ご協力いただくのは本来なら“人”ということになるが、Vol.1653とVol.1654では、大塚商会の社内報「あゆみ」誌に擬人化するというかたちで登場していただいた。あゆみ誌の創刊は1964年で、16年5月号が500号となった。その偉業を讃えたいとの想いからだ。
本来なら、あゆみ誌の編集部に依頼するところだが、500号にもなる歴史をすべて把握できている人はいない。であればということで、擬人化で登場していただいた。
社内報は、多くの企業が手がけてきている。しかし、コスト削減の方針により、紙をやめて、ウェブに移行するケースが多い。あゆみ誌も同様の議論があったが、紙はやめないと決めた。それは社員だけでなく、定年退職をされた方、社員の家族が、あゆみ誌を楽しみにしているからだ。インタビューでは「自分の子どもが掲載された号は親御さんにとってはいわば宝物。掲載号は大事に保管してある社員も多い」と“紙ってる”理由を語っている。

(11月14日付 Vol.1653、11月21日付 Vol.1654 掲載)
ゆく年 くる年
2016年も残りわずかとなりました。どのような1年でしたか。今年は、15年頃から始まった第三次AIブームが本格化しました。このブームは失速するのか、それとも続くのか。17年には、その答えがみえてくるでしょう。とても楽しみです。
デジタル全盛時代に“紙ってる”週刊BCNですが、12月21日にウェブサイトをリニューアルしました。サイト名は「週刊BCN+(プラス)」で、URLは「www.weeklybcn.com」です。情報サイトとしての役割のほか、読者の皆様の役に立つさまざまな機能を用意していく予定です。紙とウェブの両輪で走り出した週刊BCNに、来年もご期待ください。(週刊BCN編集長 畔上文昭)
